日本の里親「世に知られていない」数々の真実 「=養子縁組」は間違い?自治体間に格差も
堀:何人くらい里親の数が必要なのでしょうか?
岩朝:基本的には、委託したい数の3倍は登録がないといけないと言われています。それぐらいないと、なかなか子どもに最善のマッチングはできないと思います(※10)(※11)。
(※11:”全国20代~60代の男女の6.3%が「里親になってみたい」「どちらかというと里親になってみたい」と回答。”2018年1月30日 日本財団-「里親」意向に関する意識・実態調査-より。)
里親には里親特有のサポートが必要
堀:代表を務めるNPO法人「日本こども支援協会」では、具体的にどのような活動をされていらっしゃるのですか?
岩朝:啓蒙・啓発、政策提言をメインに活動しながら、里親のサポートも行っています。里親は、やはり里親特有の子育ての悩みが出てくる。同じ5歳の子を育てているのでも、そこに至るプロセスが全く違う。何ヶ月もかけてお腹で一緒に過ごして出産して母乳をあげてというところから始まった親子関係と、4歳から里親になって5歳になったというのでは、全くプロセスが違う。子育て相談の窓口に行ったところで、そのプロセスを分かって指導できる人はいないので、里親には里親特有のサポートが必要だと感じます。
堀:本当に子どもを守る社会を作ろうと思ったら、国でしっかり専門集団を作って行政の支援を充実させるべきだし、里親を育てていく教育の仕組みも必要。「日本こども支援協会」では、これから乗り越えるべき問題点として、里親不足、里親の質の向上、担い手としての意識の向上、委託後の支援体制などを指摘されていますね。
岩朝:そうですね。全国の里親と一丸となって、自分たちのレベルアップを自分たちで率先してやっていくこと、お互い交流を持ちながらサポートしていくということを、連携してやっています。
堀:最後にぜひ、10月4日「里親の日」に向けてのメッセージをください。
岩朝:今、社会的に養護が必要な子どもたちと同数、4万5000枚のチラシを日本全国で配布しています。4万5000人の子どもたちは、自分たちで自分たちの環境を変える力はないので、大人がこの子たちの未来を支えていくしかない。虐待のニュースで心を痛めているだけでは、子どもたちの未来は変わらないので、ぜひ自分のできることを見つけて欲しいと思います。例えば、自分が里親になることはできないけれど、里親を支援している団体を応援しようとか。年に1回、10月4日だけ自分も一緒に街頭に立とうとか。何かしらのアクションを皆さんが少しずつやることで、社会は変えられると思います。子どもたちの未来は本当に私たちの手にかかっているという強いメッセージ込めて、チラシを配っています。
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