残念な営業が見落とす「お客様目線」の大原則 デキる営業マンほど「押し引き」上手だ
ここで、2つの事例を紹介します。
あなたは、大型テレビを購入するために、家電量販店を訪れました。そこで接客してくれたのは、店員Zさんです。Zさんはよくいるタイプの店員さんで、あなたの話を聞くよりも、一方的に話し続けます。
店員:お客さま、テレビをお探しですか?
お客さま(あなた):はい
店員:A社の液晶テレビはコストパフォーマンスがよく、とてもいいですよ。もしくは、今の時代は4Kが当たり前なので、思い切ってB社の4Kのほうがいいかもしれないですね。いや、4Kの液晶テレビを購入するなら、C社の有機ELもいいかもしれません。なにせ、画像が格段にキレイですからね。
お客さま(あなた):……。
店員さんからこんな説明をされても、テレビの知識に長けた人でなければ、4Kだの有機ELだの専門用語の話ばかりで意味がわかりませんよね。これでは、完全に「お客さま目線」ではなく「自分目線」の営業です。
次に、店員Xさんが接客してくれました。
店員:お客さま、テレビをお探しですか?
お客さま(あなた):はい。
店員:サイズはどれくらいで、値段のご希望はありますか?
お客さま(あなた):今のテレビが小さいので、大きくしたくて……。
店員:ちなみに、どれくらいの広さのお部屋でお使いですか?
お客さま(あなた):リビングで、ちょうど12畳なんですよ。
店員:では、まず大きさは50インチを基準に選ぶとよさそうですね。 まずは部屋の大きさに対するテレビの大きさを選んで、その後で今のテレビは各社さまざまな特徴がありますので、それをご予算に近いものから順番にご説明しますね。
お客さま(あなた):はい、お願いします。
求められるのは「お客さま目線」
こんな店員Zさんと、店員Xさんがいたとしたら、あなたはどちらからテレビを購入しますか? 当然、ほとんどの方が店員Xさんを選ぶはずです。
営業マンはこのように「お客さま目線」を意識して接客することが大事なのは、今さら言うまでもあません。ですが、実際にこれができている営業マンは、意外と少ないのが実態です。本来ならば、お客さまの視点(立場)に立って話をしなければならないのに、お客さまの話を聞くことよりも、営業マンが一方的に商品やサービスの説明、もしくは専門的な話をしていることが多いのです。
この例からわかるように、営業マンはつねに前述の「心理的な視点取得」を意識する必要があります(お客さま目線)。心理的な視点取得とは、「他者」からどのように見えるか、さらに、ある出来事が他者にはどのように経験されるか、ということの認知です。いわば「相手の視点になりきる営業マン」のイメージです。