レクサスESが積むカメラ式ドアミラーの威力 今秋発売の上級セダンは、雨も夜も視界良好
ところがその後レクサスは軌道修正を行った。駆動方式にかかわらず、LSやGSにはラインナップしていたハイブリッド車をアピールするようになったのだ。その結果生まれたのが2009年デビューのセダン「HS」と2年後に登場したハッチバック「CT」だった。
いずれもハイブリッド専用車であり、パワートレインを横置きとした前輪駆動車だった。CTのプラットフォームやパワートレインは当時の「プリウス」と共通部分が多く、HSはほぼ同時期に登場したトヨタの新型セダン「SAI(サイ)」とフロントドアまで同一という、双子車と言える関係にあった。
しかしレクサスとトヨタのセダンを双子車にするという戦略はあまり受け入れられなかったようで、HS/SAI両車とも2017年に販売終了のアナウンスがなされた。SAIの市場を受け継ぐのは、同じ2017年にモデルチェンジした「カムリ」である。こう書けば、日本でのESにHSの後継車という役割が持たされていることは容易に想像できる。
もっともESのボディサイズは全長4975mm、全幅1865mm、全高1445mm、ホイールベース2870mmと、HSよりひとまわり以上大きい。現在のわが国のラインナップでは、全高以外はGSをも上回っている。
前にも書いたように、ESは前輪駆動、GSは後輪駆動である。2005年にESが日本に導入されなかった理由のひとつはここにあったと筆者は見ている。
セダンはパーソナルカーとしての性格を強めている
しかし現在、前輪駆動のメルセデス・ベンツAクラスやBMW2シリーズに乗る人は多いし、ポルシェの販売台数の過半数はマカンやカイエンなど、フロントにエンジンを積む車種だ。現在のユーザーはエンジンの搭載位置や駆動方式に、さほどこだわりはないのではないだろうか。現在GSに乗る筆者の親戚も、ESが登場したら乗り換えたいと言っている。
日本仕様のGSは現在、3.5LのV型6気筒にモーターを組み合わせたハイブリッドの「GS 450h」、同じ3.5L V6ガソリンエンジンの「GS350」、2.5L直列4気筒+モーターの「GS300h」、2L直列4気筒ガソリンターボの「GS300」がある。
このうちGS300hのパワートレインは基本的に、今回発売された「ES300h」と共通であり、ES300hにマーケットを譲るかもしれない。ESには海外向けとして、GS350と同じV6ガソリン車もあり、ユーザーの要望次第では日本に導入される予定もある。
ただしGS450hとGS300はともに走りを重視した車種であり、これらのパワートレインは後輪駆動が似合う。5L V8自然吸気エンジンを積んだスポーツセダン「GS F」も然りだ。ESの登場により、GSはラインナップを見直してキャラクターを明確にしていくかもしれない。
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