レクサスESが積むカメラ式ドアミラーの威力 今秋発売の上級セダンは、雨も夜も視界良好

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ESにはそうさせるだけの魅力があると考えている。スタイリングはノーズ、キャビン、トランクがはっきり独立した正統派3ボックスセダンのGSに対し、ルーフからリアにかけて流れるようなラインを持ち、6ライトのサイドウインドーを採用してイメージを一新したフラッグシップセダンの「LS」に近い雰囲気を感じる。ひと世代新しいデザインであると実感する。

今や広さや使いやすさを重視するユーザーはSUVやミニバンに乗る。かつては実用車の代表と言われたセダンはパーソナルカーとしての性格を強めており、それに見合った流麗なデザインを多くのブランドが取り入れている。ESはそのような流れの上に立ったスタイリングを採用したと言える。

市販車に世界初採用「デジタルアウターミラー」

技術面で注目されるのはやはり、市販車世界初採用となるデジタルアウターミラーだろう。前出の親戚も、ESが気になる最大の理由としてこれを挙げていた。

(動画:トヨタグローバルニュースルーム)

デジタルアウターミラーとは、ドアミラーの代わりにカメラを取り付け、その画像をインパネ両脇のモニターに映し出すものだ。ルームミラーについてはすでに、日産自動車のインテリジェントルームミラーなどが実用化されているが、アウターミラーはスタイリングにも関係するだけに、さらに話題になりそうだ。

筆者はインテリジェントルームミラーを体験したことがある。後席の背もたれなどによって視界が遮られることがなく、雨天時や夜間でもクリアな視界を提供してくれるので、おおむね好印象だ。なのでデジタルアウターミラーについても肯定的な立場である。

ただし実車を見ると、ドアに取り付けられたカメラがかなり大柄で横方向に飛び出していることと、インパネ両脇に装着されたモニターがオーソドックスな長方形であることが気になった。

前者については、カメラの映し出す範囲を広く取ったり、センサーやウインカーなどを内蔵したりという理由もあるだろうが、モーターショーに展示されたコンセプトカーに装着しているデジタルアウターミラーのように、もっと小型にできなかったものかと思う。

後者については、インパネ中央に置かれたディスプレイはインパネに合わせた造形としているのだから、デジタルアウターミラーのモニターも同様に、インテリアにフィットした造形にしてほしかった。既存のドアミラーもスタイリングに合わせて長方形ではないのだから。

ドアミラーは視界確保という安全上の目的があり、各ブランドとも無粋であることは承知しつつ、車体から出っ張った四角い突起物という形状を継承し続けてきた。しかしデジタルアウターミラーになれば、モニターともども造形の自由度は上がるはずである。

今後プレミアムブランドを中心に、多くのブランドがこの技術を採用してくるはずで、デザイン競争になる可能性は十分ある。形の良しあしが車種選択の決め手になることもあるだろう。

今回ESに装備されたデジタルアウターミラーが究極の姿だと思うユーザーは多くはないはずだ。日本車らしいエレガンスとハイテクを感じさせるディテールに進化させていってほしい。

森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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