フランス人から見ると痴漢はほぼ強姦行為だ 軽はずみないたずらでは済まない

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くみ : そうだね。痴漢って、言葉の響きが原因かもしれないけど、何か軽いイタズラみたいに思っている人も多いんじゃないかと思う。それで余計に、当時の私は、親を含めて周囲の大人たちにうまく伝えることができなかった。

「痴漢に遭った」って言えば、私は自分の実体験から、「電車に乗っている10分ほどの間中、付きまとわれてずっと触りまくられる」とか、ひどい場合は下着の中まで手を入れられて触られるとかが、普通の定義だと思ってた。

痴漢に遭ったショックは伝わりにくい?

でも、痴漢が電車の中で、そんなことまでするとは思っていない人もたくさんいるんだということも、最近になって知った。それでは私が単に「チカンに遭った」と言っただけでは、ショックやつらさが伝わらないわけだよね。

女の子は特に、自分の体を大切にするように育てられるし、思春期になってきたら親ですら気を使って、不用意に体に触れないようにすると思う。そうやって大切にしないといけないものとして、自分でも気をつけるように言われ続けてきた自分の体が、学校に通う途中の公共の場で、見知らぬ大人から踏みにじられて。

物理的に触れられた事実も気持ちの悪い感触として残るしショックだけど、なんていうか、それまで信じてきたこととか、大切にしてきたこととか、思春期で不安定な自分が生きる拠り所となっていたいろんな大事なことが覆されて、自分の中で崩壊した気がした。

エマニュエル:話が尽きないけれど、次回はフランスでは公共交通などにおける性暴行に対してどんな対策がとられているのかについても、話してみたいと思う。

佐々木 くみ 執筆家、イラストレーター

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ささき くみ / Kumi Sasaki

東京生まれの30代。フランス在住10年を超す。2017年10月に、エマニュエル・アルノーと共著で自らの体験をつづった『Tchikan(痴漢)』をフランスで出版。イラストも手掛けた。

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エマニュエル・アルノー 小説家

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Emmanuel Arnaud

1979年生まれ、パリ出身。2006年より児童文学、小説、エッセーをフランスにて出版。2017年にThierry Marchaisseより佐々木くみとの共著『Tchikan』を出版。2000年代に数年にわたり日本での滞在、および勤務経験を持つ。個人のサイトはこちら

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