エマニュエル:日本の痴漢の場合は、手や指での接触であって、たいていが満員電車で行われるため性行為の強制や暴力や脅迫はないんだよね?
ということは痴漢とヨーロッパでの性暴行では目的が違うといえるのかな。ヨーロッパでの性暴行の目的は主に性的快感を得ることや射精であり、被害者を支配しているかのように接触するけれど、痴漢はそうではないよね。
『Tchikan』を出版してから、フランスでもたくさん痴漢に関する記事が出たけど、その時に初めて僕もフランスにも日本のような痴漢が存在するって知ったんだ。フランス語では「frotteurs“(直訳:こする人、磨く人)」と呼ばれているらしいんだけど、被害の規模は日本ほどではないようで、あまり認知されていないため僕も聞いたことがなかったんだと思う。
毎日違う人たちから被害を受けていた
くみ : 私も正直、自分が遭うまで、そもそも日本に痴漢が実際に存在すること自体疑っていたし、まさか自分が遭うなんて夢にも思ってなかった。それが、初めて遭ってびっくりしてショックで怖くて、でも、それがまさか毎日のように続くことになるなんてね。
毎日同じ人が痴漢行為をしてくるならまだわかるけど、年齢、外見、本当にそれぞれまったく違う人たちが、入れ替わり立ち替わり、ほぼ毎日痴漢行為をしてきた。当時の自分の父親よりずっと年上の、祖父に近いくらいの男性や、20歳前後のごく普通の学生風の男性、中には「この人、普通にモテるんじゃないかな」と思うような、かっこいい人やすてきな外見の人もいた。でも痴漢行為を始めた時点で嫌悪感と軽蔑しか抱かなかったな。確かに、そういう人が、あまりに多すぎた。
エマニュエル : 話を聞いてとても印象に残っているのは、くみがとても孤独な状況で被害に耐えていたということなんだ。家族や学校、警察や裁判機関のどれにも助けを求めることができずに、未成年の少女が1人で耐えるしかない状況は本当に恐ろしいと思うよ。当時、自殺まで考えてしまったというのも理解できるよ。