日産GT-R×イタルデザインのすさまじい実力 1億円超の特注「50周年モデル」を徹底解剖

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それはさておき、登場からすでに11年が経過した日産GT-Rだが、今後の去就については何もアナウンスがなされていない点も気になる。通常であれば、フルモデルチェンジをしていてもおかしくないくらいの時間が経っているが、次期型に関するうわさは、開発がスタートしているとか、あるいは開発が凍結になったとか、さまざま風に乗って聞こえてくるが、確信できるような決定的な情報はないのが実際である。

ハイパフォーマンス・モデルの世界において、日産GT-Rは世界中に衝撃を与えるパフォーマンスを見せつけ、多くのハイパフォーマンス・カーメーカーを慌てさせた。実際、その性能は数千万~億円の値札をつけるモデルに匹敵するどころか、それらを凌ぐものなのである。しかもこれほどのパフォーマンスが最高峰グレードでも1800万円で購入できるのだから、コストパフォーマンスも圧倒的なのである。

ブランド価値と開発、悩ましいスパイラル

しかし、それほどの存在ながら順当な進化やモデルチェンジが行われないのは、やはりビジネス的に厳しい面があるからにほかならないと筆者は推測する。

たとえばこの分野での成功者であるポルシェは、次期「911」を順当に開発しており、まもなくこれを世に送り出すという、とても健全なビジネスを展開している。

一方で日産GT-Rはまだ影も形もない……のではないだろうか。そう考えると、日産GT-Rはクルマそのものの性能では世界の何本かの指に入るレベルを実現したものの、ビジネスとしてサステイナブルなシステムは構築できていないように思える。

しかもなかなかに悩ましいのは、日産というブランドにおいてハイパフォーマンスカーを売る難しさなのかもしれない。

性能的には3000万円以上といわれてもおかしくない存在と考えると、むしろ現在の価格でも安すぎる。しかしながら、「数千万円級の価格をつけたものを日産で販売するのか?」という問題もある。日産にはインフィニティという高級車ブランドも存在するが、そのフラッグシップと考えても……なかなかしっくりこないかもしれない。

そう考えるとむしろGT-Rを取り巻く関係者の悩みとは、ポルシェのようなブランド価値を手に入れることなのかもしれない。

しかしながら現在のポルシェのブランド価値も、長い時間をかけて苦難の末に手に入れたものと考えると、一瞬でそこに追いつく魔法はないことも明白。しかしながら、開発の手を緩めればあっという間に世界の最高峰のレベルは遠ざかっていく、という実に悩ましいスパイラルがそこにある。

はたして日産GT-Rは今後、どのような方向へと進んでいくのだろうか? そんなことを思いつつ、Nissan GT-R 50 byイタルデザインを眺めたのだった。

なお、このNissan GT-R 50 byイタルデザインは、銀座のNISSAN CROSSINGにて、2018年10月15日から11月25日まで展示される。

河口 まなぶ 自動車ジャーナリスト

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かわぐち まなぶ / Manabu Kawaguchi

1970年5月9日茨城県生まれAB型。日大芸術学部文芸学科卒業後、自動車雑誌アルバイトを経てフリーの自動車ジャーナリストに。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。2010年にWeb上の自動車部「LOVE CARS!」(部員約2200人)を設立し主宰。Facebook上に「大人の自転車部」を設立し主宰、2万人ものメンバーが参加。また同じくFacebook上に「初めてのトライアスロン部」を設立し主宰、1500人のメンバーが参加。TV、新聞、Web、各種自動車メディアに出演・寄稿を行うほか、YouTubeでは独自の動画チャンネル「LOVE CARS!TV!」(登録者数8万7000人)で動画を配信。Yahoo!ニュースに個人でも自動車に関する記事を発信している。趣味は水泳、自転車、マラソン、トライアスロンでは毎年アイアンマンレースを完走している。

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