JR東海が大人気イベントで「お詫び」のワケ 車両基地や工場を無料公開するメリットは?
社会貢献活動なので入場無料。イベント自体は儲からない。社員は2日間で延べ約800人、アルバイトも2日間で延べ約170人、警備員は夜間含めて約50人が動員される。会場内で小田急電鉄の最新商品や箱根登山電車、江ノ電、グループバス会社のグッズが売られているものの、その売り上げは個々の販売者のもので、小田急にとっては大幅な持ち出しだ。しかし「社内からも、株主からも反対意見はなく、利点を理解していただけていると考えております」(小田急電鉄)。
「鉄道事業の理解促進と小田急ファンの獲得という点に加えて、鉄道現業の係員のモチベーションアップにもつながっている」という言葉が好印象だった。線路保守や乗務員の仕事などの実演がある。駅員や車掌はお客様に触れる機会がある。しかし、運転士、保線などの現場は、お客様が立ち入れない場所だ。そこで働く人々にとって、イベントでお客様にふれあうことで、「自分たちがこの笑顔のために働いているのだ」と認識できる。
小田急電鉄はイベントで、お金では得られない多くの物を受け取っている。それはJR東海はじめ、多くの鉄道会社のイベントに共通する利点だろう。
「市民イベントから観光イベントへ」大井川鉄道
10月20日、21日は大井川鉄道も「SLフェスタin新金谷」を開催した。主催は同社と島田市によるSLフェスタ実行委員会だ。同イベントの開催は2011年から。SL運行で全国的に有名な大井川鉄道は、意外にもイベントとしては後発である。イベント開催のきっかけは島田市の市民向けイベントだった。
島田市観光課に聞くと「観光庁が2010年に呼びかけた『家族の時間づくり』プロジェクトに参加し、企業と市民の協力で10月に4連休を設定しました。家族の時間を楽しむ場所として、SLフェスタを開催しています」とのこと。2010年は親子SL無料乗車体験を実施。約1200人が参加した。2011年には島田市の支援で新金谷駅に転車台が設置された。そこで、転車台の稼働開始を記念するイベントと合わせてSLフェスタとなった。
市民プロジェクトとして始まったSLフェスタは、全国から鉄道ファンを集めるイベントになった。そこで、家族の時間づくりプロジェクトが終わってからもイベントは継続している。
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