「ワークマン」がオシャレになれた本当の理由 初出店のカジュアルウエア店舗は出足好調

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ワークマンプラスの店内には、カラフルなバックパックやジャケットが数多く並ぶ(撮影:大澤 誠)

もう1つは圧倒的な価格の安さだ。撥水加工されている防寒ジャケットが2900円、中綿入りのスノーブーツが1900円、防寒カーゴパンツが2900円など、アウトドアブランドの製品と比べると、1ケタ違う安さだ。ワークマンによると、アウトドア向けはメーカー品の約半額、スポーツ品は約3分の1以下の価格を実現している。だが、向こう見ずに投げ売りしているわけではない。安く売れるには理由がある。

作業服はいったんメーカーを決めたらリピートする確率が高いため、毎年一定の売り上げを見込みやすいという特性がある。しかも、過酷な環境などで連日使うことが多く、「気に入った作業服を2、3着買う人もいる」(栗山社長)ため、大量に買われやすい。つまり、大量ロットで生産できるため価格を大きく抑えられるというわけだ。たとえば、オリジナルの作業着は年間で350万着、アウトドア用などの3ブランドも10万着単位で生産している。

作業服からなぜアウトドアに?

同社は目下、中国やベトナム、ミャンマーなどの工場で生産しているが、「一定の数が出る仕事があると、工場は工員さんにちゃんと給料が払えるし、とても安心。そのうえで、シーズン品が上乗せされても、それは別のお給料になる。工場が安心してやれるということは、値段の交渉もしやすい」(栗山社長)。

“本業”の作業服も好調だ。今期は、猛暑の影響で内部にファンが付いた作業服がバカ売れしたこともあって、売上高が前期比7.7%増の560億円、営業利益は同11%増の106億円になる見通しで、2011年3月期以降、8期連続増収増益となる公算。店舗数も右肩上がりに増えており、足元で826店、2025年には1000店舗を目指している。

とはいえ、栗山社長は就任当初から「作業服だけ作っていればいい」とは考えていなかった。それもそのはず。トップに就いたのはリーマンショックの翌年。当時の市場環境は最悪で、2010年3月期は2期連続の減益で終わった。先を見通しても、人口減に伴って、作業服を着て働く人口も減っていく。作業服の業態は全国に1500店舗ほどあると見らており、他社との差別化も含めて「普通の人にも買っていただける製品開発をしかないといけない」(栗山社長)と、2011年ごろからPB開発に力を入れ始めた。

しばらく「ワークマンベスト」という名の下でPBの開発を手掛けていたが、転機となったのが、雨用ジャケット「透湿レインスーツストレッチ」だ。通常作業服は、「昔でいえば、中学校を出てからずっと着るものだから、誰の体型にも合うように作られていた」(栗山社長)が、透湿レインスーツは、細身の人から3Lの人まで、それぞれの体型に合うように作られている。

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