驚安ドンキ、「ユニー買収」に透ける真の狙い 40%出資で満足せず、名門GMSを飲み込む理由

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10月11日、記者会見に臨んだドンキの大原孝治社長(左)とユニー・ファミマの髙柳浩二社長(撮影:梅谷秀司)

両社は今年春に共同店舗6店を出店した。40%出資のままでもドンキはメリットを享受できるように映るが、買収に至った裏には、ユニーと足並みをそろえるうえでの“もどかしさ”があったようだ。

ドンキは各店舗の社員が主導して仕入れや値付けを行う個店主義や、評価給のウエートの高い実力主義が特徴で、「まじめでおとなしい」(業界関係者)ユニーとの社風の違いは大きい。両社の決算期は異なり、予算編成も一筋縄ではいかず、共同店舗で深夜営業を行うにはユニー側の労働組合への説明も必要となる。40%出資という立場では指揮が執りづらく、共同事業はドンキが想定したようなスピード感で進まなかった。

伊藤忠とのパイプで海外強化

こうした懸念を今回の買収で払拭する。「(申し出から買収決定まで)想定よりかなり早く話がまとまった」(ドンキ幹部)。既存のドンキやアピタ、ピアゴを俯瞰することで、同じ商圏内でのカニバリ(売り上げの食い合い)も防げる。

さらに今回、ユニー・ファミマがTOB(株式公開買い付け)でドンキ株を最大20%取得し、グループ化することも発表した。ドンキはユニー・ファミマの親会社・伊藤忠商事とのパイプを足掛かりに、海外展開も一段と強化する構えだ。

10月11日の記者会見はドンキとユニー・ファミマの社長らが登壇したが、ユニー経営陣の姿はなかった。東海の名門企業ともいわれるユニーの現場の反発を招かず、GMSの再生を実現できるか。業界の風雲児の真価が問われる。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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