民主主義は、どのように殺されていくのか ハーバード大学教授が導き出した結論とは?

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1.  ゲームの民主主義的ルールを拒否(あるいは軽視)する
2.  政治的な対立相手の正当性を否定する
3.  暴力を許容・促進する
4.  対立相手(メディアを含む)の市民的自由を率先して奪おうとする

ヒトラー、ムッソリーニ、チャベス等の独裁者の人間性はそれぞれに大きく異なるが、彼れらが権力の座に就くまでの道のりは、驚くほど似通っていたのだ。

これらの項目を満たす独裁者候補を排除するための責任は、有権者ではなく、民主主義の門番たる政党とその指導者にあると著者は指摘する。

2016年までトランプのような扇動家がアメリカ大統領に選ばれなかったのは、そのような候補がいなかったからでも、昔の有権者がより賢明だったからでもない。有権者の30~40%が支持するほどのポピュリストはアメリカ史に度々登場していた。

政党が門番としての機能を果たしていた

多くの支持者を得た彼らが大統領候補にすらなれなかったのは、政党が門番としての機能を果たしていたからだ。共和党では1970年代まで数人の指導者たちが密室に集まり、候補者の長所と短所を注意深く検討することで、自党の大統領候補を選定していた。その過程で予備選挙の結果をひっくり返すこともあったのだ。

1920年には予備選挙で圧倒的1位の得票数を得ていたレオナルド・ウッド少将ではなく、得票数4位のウォレン・G・ハーディングが共和党候補に選ばれた。民主党のエスタブリッシュメントも、1968年に有権者から大人気だった人種差別主義者のウォレスを支持しなかった。密室での非民主主義的なやり取りが、民主主義を危険にさらすポピュリストや明らかに不適切な人物を除外することに成功していたのである。皮肉なことに、より民主的なプロセスがトランプを大統領にしたともいえる。

民主主義を守るためには、政党だけでなく明文化されたルール(憲法)が必要だが、どれだけ立派な憲法があっても機能しなければ意味はない。そして、憲法がうまく機能するためには、「共同体や社会のなかで常識とみなされている共通の行動規則」となる規範が必要であると著者は考えている。特に相互的寛容と組織的自制心という2つの規範が、柔らかなガードレールとして機能することで、政治の世界の競争が無秩序な対立となるのを防いでいる。

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