「ジブリ」中国初の展覧会で見せたこだわり 現地主催者は求められる質の高さに困惑
矢部 中国で展覧会を開くことになったきっかけはあるんですか?
橋田 そもそもは、2010年に開催された上海国際博覧会の日本産業館に小さなショップを出店したのがきっかけです。その際お手伝いしてくれた上海新創華文化発展有限公司(SCLA)の代表・孫剣さんがずっと「中国でスタジオジブリを正式に紹介する活動をしたい」とラブコールを送ってくれていたのですが、なかなか実現には至らなかった。
それがここ数年、インバウンドの増加に伴い三鷹の森ジブリ美術館を訪れる中国の人が急増。1年ほど前から中国での活動を視野に入れ、橋田に現地視察してもらうなどして検討を重ねてきました。
マニア向けと初心者向け展示を分けた
橋田 初上陸の場を上海、それも森ビルのグループ会社が運営する上海環球金融中を会場に選んだのにはさまざまな理由がありますが、2016年に六本木ヒルズで開催した展覧会「ジブリの大博覧会」で一緒に仕事をした矢部さん、そして森ビルだからこそ安心して任せられるという思いが強かったのも事実です。
矢部 『天空の城ラピュタ』の世界観を六本木ヒルズで再現するというのが僕の長年の夢だったので、あの時はうれしかったですね(笑)。
映画のオープニングに2秒だけ出てくる飛空艇を作り、スタジオジブリが好んで描く「飛行機械」と森ビルならではの「建築」という2つをテーマにした展示を行った。今回、94階の展示は飛空艇の容積を2.6倍にするなど、さらにパワーアップ!
星野 同じ建物の中で、内容の異なるジブリ展示2つを同時開催するのは橋田の案。
橋田 上海環球金融中心でやるなら、ジブリ主体の企画に加えて、森ビルと四つに組んだ展示もしたいと思ったんです。それなら、矢部さん=飛空艇しかないだろうと(笑)。
矢部 マニア向けの94階に対して、4階は初級編とも言うべき展示になっていますね。