「人を不愉快にする手紙」書く人に欠けた配慮 「忖度」はビジネスレターでも役に立つ
何かを「こうだ」と言い切る形の文章を書くことは、文章を書くことを仕事にしている人間でも勇気と覚悟のいる作業です。本当に言い切ってしまって大丈夫か、という不安もつきまといます。
文章をシャープにする「言い切る覚悟」
しかし何らかの意見なり、研究成果なりを発表するときに、批判や反論を恐れて遠慮がちに書いていたのでは、文章自体がひどく弱々しいものに見えがちです。多少の誤解は覚悟のうえで、あえて大胆に言い切ることで文意がはっきりするし、また文章もシャープになります。
こうした文章テクニックは、前述した「忖度文章」であっても同じです。忖度があったとしても、言い切るべきところを遠慮して、うやむやにしていてはかえって印象の悪い文章となってしまいます。特定の誰かを傷つけないよう配慮しつつも、ときに言い切るべきところは言い切る覚悟を持つことで、文章が輝く場合もあるのです。
たとえば「2:6:2の法則」を社会現象に応用して説明しようとしたとき、あまり大胆に言い切ってしまうと、不遜な印象を持たれてしまうのではないかと恐れ、次のような文章を書いたとします。
「2:6:2の法則」というものがあると聞いています。この2:6:2の法則は、世論を形成するときにも起きている現象なのではないでしょうか。小説やドラマでも、社会現象となるような人気作品は、社会全体から指示されているように見える気がします。
ところが、正確にはわかりませんが、もし2:6:2の法則にあてはめるならば、実際に支持しているのは全体の2割程度なのかもしれません。そうであるならば、残りの8割の内、6割は支持でも不支持でもない中間層となり、残った2割が不支持層です。
2:6:2の法則が成り立つなら、そういうことにならないかと思っていますが、果たしてどうでしょう。
つまり、それがブームといわれるような現象となるのは、作品を熱烈に支持する2割が中間層の6割を引っ張り、2+6=8になるからかもしれないと思っています。
全体の8割が支持という社会現象が起きるのは、こうした2:6:2の法則のメカニズムが働いているからと見るのは考えすぎでしょうか。ひょっとするとムーブメントを起こす鍵は、常に中間にいる浮動票が握っているのかもしれません。
言いたいことが、「世の中の出来事はおおむね2:6:2に分かれ、いずれかの2が強ければ中間の6はそちらに引っ張り込まれ、社会現象としては8割が支持となる」らしいことは、この文章からでも読み取ることはできます。
しかし、この文章はどうにも腰がすわっていません。文章がふらついているため、意見に強さも熱も失われてしまっています。これでは、この意見に賛同する人がいても、文章に潔さが微塵も感じられないため共感することができません。
では、思い切って言い切ってしまいましょう。するとこういう感じの文章となります。
「2:6:2の法則」というものがあります。
2:6:2の法則は、世論を形成するときにも起きる現象です。小説やドラマでも、社会現象となるような人気作品は、社会全体の8割から指示されているように見えますが、実際に指示しているのは全体の2割、残りの8割の内、6割は支持でも不支持でもない中間層で、残った2割が不支持層です。
それがブームといわれるような現象になるのは、熱烈に作品を支持する2割が中間の6割を引っ張るから。浮動票である6割は、支持派2割の強さに引っ張られて、全体の8割が支持という社会現象が起きるのです。
つまりムーブメントを起こす鍵は、常に中間にいる浮動票が握っているということができます。
言っていることは同じですが、言い切るほうが読んでいる側に真実味を感じさせる文章となります。
ときに言い切る覚悟を持つことは、伝わる文章を書くうえで必要なことなのです。
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