コンゴの性暴力を止める責任は日本にもある ノーベル受賞医師はなぜ闘う必要があるのか

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紛争鉱物問題に対して国際社会が無策だったわけではない。経済協力開発機構(OECD)は2010年、企業が自社の鉱物調達経路からコンゴの紛争鉱物を排除する取り組みを行うよう求めた。アメリカでは2010年7月の金融規制改革法(通称ドッド・フランク法)1502条によって独自の紛争鉱物取引規制が制定された。

紛争鉱物取引規制の導入によって、国際社会の取り組みにはさまざまな影響があった。

まず、武装勢力や軍の介入がない、児童や妊婦の労働が行われていない、などの基準をクリアした鉱山の鉱石にはタグを発行するなど、紛争鉱物の認証システムが普及し始めている点が挙げられる。取引所や製錬所がタグ付きの鉱物しか購入しないことで、紛争フリーの鉱物しか流通しない仕組みを構築した。

次に、3TGを使用する企業による紛争鉱物調達調査が大規模に行われている点が挙げられよう。前出のドッド・フランク法1502条では、アメリカ証券取引委員会(SEC)に上場している企業に対して、自社の製品の製造または機能に3TGを使用しているかを調査し、使用している場合には原産地を特定すること、原産地がコンゴとその周辺国である場合には、紛争に関わった鉱物ではないかどうか、サプライチェーンを遡ってでも調査することを求めている。

アメリカ会計検査院(GAO)の報告によれば、2017年に調査結果をSECに報告したアメリカ企業は1165社であった。だが、GAOによれば、2017年の段階で自社が使用する3TGの原産地が特定できたアメリカ企業は53%にとどまっている。

日本はどう対応してきたか

他方、日本では紛争鉱物取引規制にあたる法律が制定されていない。とは言っても、アメリカのSEC上場企業と取引をしている場合には顧客企業からの調査がおよぶため、電子機器産業、自動車産業、化学工業を中心に数多くの企業が調査を実施している。

2012年には、電子機器企業の業界団体である電子情報技術産業協会(JEITA)が責任ある鉱物調達検討会を設立し、調査方法の統一と普及に取り組み始めた。JEITAの調査によれば日本の電子機器企業で製錬所が特定できたのは12%にとどまっている。

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