田原総一朗「メディアに中立なんていらない」 「中立を掲げることは一種の逃げだ」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

朝日新聞についてはもう1つある。少し前に、文芸評論家の小川榮太郎氏が朝日新聞を批判する本を出したでしょう。本文にいくつか誤りがあったのは事実。だけど朝日新聞は小川氏を告訴した。言論の自由なんだから、朝日新聞を批判することは自由。朝日は言論で対抗しなきゃいけなかった。そのことについて、朝日新聞の幹部やOBは彼らに反論する自由はないと言っていたね。

——メディアの内部的な問題に起因するということですか。

政治にも問題がある。野党が弱すぎる。今の野党は政権を奪取しようという気持ちがまったくない。自民党議員も選挙制度が変わって安倍さんのイエスマンになってしまった。以前は自民党の主流派と反主流派の論争や転換が非常にダイナミックで迫力があった。

これまで自民党の総理大臣があんなに変わったのは野党との闘いに負けたからではない。自民党の反主流派に負けたんだ。岸信介、田中角栄、福田赳夫、大平正芳、宮澤喜一、みんなそうだよ。

自民党内部に緊張感がないのではないか

ところが小選挙区制に変わり、1つの選挙区から1人しか出られなくなった。だから自民党の議員で立候補するためには執行部に推薦されないと公認されない。だから安倍イエスマンになっちゃう。

自民党のなかにも緊張感がないな。森友問題も加計問題でも昔なら自民党の内部から異論が出るよ。今はまったく出ない。第1次安倍政権のときに石破茂幹事長に「自民党の内部がだらけているよ」と言ったんだ。

1934年滋賀県生まれ。東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。1977年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの地平を拓く。BS朝日『激論!クロスファイア』は来年10周年を迎える。『塀の上を走れ 田原総一朗自伝』(講談社)など著書多数。(撮影:尾形文繁)

石破さんは「おっしゃるとおり」と応えた。中選挙区制に戻したらいいと提案したら、それは反対した。中選挙区制は1回の選挙で1億数千万円かかる。どうしても表に出せないお金が必要になる。つまり金権政治だよ。それに比べたら小選挙区制はお金がかからないからね。

自民党議員も幹部も大臣も、この国をどうするか責任をもっていない。僕は野党の幹部に「どうやって自民党から政権を奪い取るか真剣に考えろ」と言っている。時間をかけて言っているのに、今一つ真剣ではない。立憲民主党も野党第一党で満足してる。

この前は枝野幸男代表に「次の衆院選では少なくとも100議席はとらなきゃいけない」と言った。野党がもっと強くならないと政治が緊張しない。民進党の玉木雄一郎幹事長代理にも共産党の志位和夫委員長にも言ってるよ。

次ページ「中立不偏」理由に声明に加わらないマスコミ
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事