田原総一朗「メディアに中立なんていらない」 「中立を掲げることは一種の逃げだ」

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——なぜメディア自身を疑うようになったのですか。

僕は戦争を知っている最後の世代。終戦のときは小学5年生だった。その1学期まで「アメリカ、イギリス、フランス、オランダの植民地にされているアジアの国々を独立させ、解放する正義の戦争。天皇陛下のために名誉の戦争をしよう」という教師の言葉を信じていた。

でも夏休みに玉音放送があり、占領軍が日本に入ってきたら教師もマスコミも180度変わった。「あの戦争はやってはならない、間違った戦争だった」と言った。次々に戦時中の要職者が逮捕された。ラジオも新聞も、彼らは逮捕されて当然で、いかに悪いことをしたかを言い立てていた。ほんの1カ月前には褒めたたえていたのに。

言論の自由は命を張って守る

それを見たことが僕の原点。えらい大人たちの言うことは信用できない。マスコミもまったく信用できない。国は国民をだます。だから自分の目で確かめたいと思って、ジャーナリストになった。あの戦争に突入したのは言論の自由がなかったから。だから僕は言論の自由は命を張って守る。日本を絶対に戦争させない。自分と違う考えの人も認めるし討論する。

「権力は徹底的に監視する」(撮影:尾形文繁)

ーー自らの意見を発表する媒体は選んでいますか。

ちゃんと自分の伝えたいことを発言できるメディアであれば、どこでもいいと思っている。紙かウェブかで分けているわけじゃない。僕はすべて一次情報をとっている。だから取材したことは事実であるという自信がある。

もう1つは、なぜこの特集をやらなきゃいけないか、プロデューサーにも報道局長にも、場合によってはテレビ局の会長にまで言う。「朝まで生テレビ」は始まって31年。毎回タブーに挑んでいる。会長から「どうぞ自由にやってください」と言われている。

ーーメディアで働く後進に伝えたいことは。

とにかく言論の自由を守る。権力は徹底的に監視する。日本を戦争しない国にする。デモクラシーを大事にする。そして中立なんてことはありえない。このことだけは伝えておきたい。

成相 裕幸 会社四季報センター 記者

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なりあい ひろゆき / Hiroyuki Nariai

1984年福島県いわき市生まれ。明治大学文学部卒業。地方紙営業、出版業界紙「新文化」記者、『週刊エコノミスト』編集部など経て2019年8月より現職。

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