女性医師が伝えたい「緊急避妊薬」の重要性 なぜ日本では普及しないのか?

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「避妊具が破れてしまって‥。緊急避妊薬があることをインターネットで調べて初めて知りました。休日でも処方してもらえる病院を必死に探しました……」

ある3連休最終日の正午。私の勤務先のクリニックに20代前半の女性が一人、緊急避妊薬を処方して欲しいとやって来ました。「緊急避妊薬の存在自体、知らなかった」と言います。どうしていいか分からず、インターネットで必死に調べて、内服するには処方箋が必要だと知った。避妊に失敗したのは連休初日になってすぐの2時頃だったため、必死に休日でも処方してもらえる病院を探してやってきたそうです。

不安そうに診療室に入る女性

日曜日や祝日に診療していると、緊急避妊薬の処方を希望してやって来る女性にたくさんお会いします。平日であれば、仕事終わりの20時から21時頃も多い印象です。

「仕事を休めないから、休日に受診せざるを得なかった」という女性や、緊急避妊薬を知らなかったが検索して初めて知って病院を受診した女性、つい先月も内服して今回は2度目ですという女性。いろんな理由を抱えて、不安そうに診療室に入ってくる女性が大半です。

山本佳奈(やまもと かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー、CLIMアドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)(写真:AERA dot.)

日本を除く多くの先進国では、市販薬としてすでに販売されており、薬局やドラッグストアなどで簡単に購入することができます。ジェネリック薬品も出回っており、米国では10ドル前後と比較的安価で手に入ります。さらに、幼少期からの性教育や避妊についての教育がなされています。実際に、米国の報告によると、2010年時点で、9人に1人の女性は緊急避妊薬を使用したことがあり、最も使用頻度が高いのは20~24歳(23%)と、未婚女性(19%)でした。使用の理由は、49%が無防備な性交渉でした。

一方、「欧米より性教育が進んでいない」という理由から、日本では薬局販売が先送りされており、緊急避妊薬は医師の処方箋なしでは手にはいりません。

日本で唯一承認されている緊急避妊薬である「ノルレボ錠」の2016年の処方数は、約11万3900(ノルレボ錠の売上高から計算)。2012年の約54,000から増加してはいるものの、欧米と比較するとまだまだ使用量は少ないです。どうしてなのでしょうか。

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