37歳「学童指導員」、年収300万円生活の現実

公務員でも「非正規職員」も多く待遇は厳しい

子どもたちは学童に着くと、宿題をして、おやつを食べて、遊んで過ごす。複数の子どもたちが集まれば、ケンカも起きるしトラブルもある。子どもの変化に気づき、思いや感情を受け止めながら、仲裁に入ったり、子どもたち自身で解決できるように指導員は見守る。そのためには、ひとりひとりの子どもの性格や家庭環境を理解し、子どもとの信頼関係を築いていかねばならない。6〜12歳の子どもたちは発達段階も異なる。発達段階に応じた関わり方も必要だ。

決して誰にでもできる仕事ではないが、指導員の待遇は低く、社会的地位も高いとは言えない。シンジさんに話を戻そう。シンジさんは「うちはいいほう」と言った。“ブラック”の上には上があるのか。

「うちは残業時間分の残業代が支払われていますが、残業代に制限があったり、つかないところもあるし、正規なのに社会保険がないところさえあります。別の学童の指導員ですが、結婚するからと辞めていった男性もいました」

学童業界では男性の寿離職は珍しくないことなのか。

恋人から寿離職を迫られたマサトさんの場合

「結婚するなら、指導員を辞めてほしい」

彼女から選択を迫られたマサトさん(仮名、34歳)に会った。マサトさんは職責ややりがいを伝え続けることで、昨年9月に結婚した。だが、葛藤を抱える人や泣く泣く辞めていく人は今も存在する。既婚の男性指導員は「妻の理解がなければ、指導員を続けていけない」と口をそろえる。

結婚問題はクリアしたマサトさんだったが、別の問題に直面していた。マサトさんは大阪府A市で働く。A市の学童は約30年前まで公立公営だったが、その後、地域の首長や学校関係者などで構成される地域運営委員会が運営する公立民営に移行。しかし、補助金流用や保育の質低下などが指摘され、2015年から株式会社も運営に参入した。

「地域運営委員会時代の身分は有償ボランティアです。X社が参入し、社員になりました。しかし労働組合活動をしていたため主任の役職から外され、配置転換も命じられました。継続的に働くことで子どもとの信頼関係を築いていくので配置転換は不本意でした。保育の質を保つためには打ち合わせや準備が必要ですが、子どもたちの登所時間だけ働けばいいということで働く時間も制限され、年収は40万円以上減って200万円以下になりました」

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