37歳「学童指導員」、年収300万円生活の現実 公務員でも「非正規職員」も多く待遇は厳しい

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学童保育があるおかげで、安心して働き続けられる――。子どもを預ける親の思いは共通だが、指導員の仕事内容や待遇まで理解するとなると話は別。待機児童にならないかという不安はあっても、入ってしまえば、毎日の生活に忙殺される。

学童指導員の非正規率は7割超

厚労省の2017年の調査では、学童保育に通う小学生は全国に約117万1200人で、指導員は約13万1300人。学童保育所は全国に約2万4600カ所あるが、運営形態はさまざま。公立民営が最も多く約46%。ついで公立公営は約35%で、民立民営は約19%だ。

学童保育は1950年代、大阪や東京で民間の保育所や保護者が立ち上げたところから始まる。筆者の暮らす大阪市では今も、保護者会が共同運営している。利用者でありながら、雇用者でもあるという微妙な立ち位置だ。シンジさんにしても、保護者会という任意団体での雇用は不安定なものである。

一方、公立で働く指導員は一見安定しているように見えるが、自治体によって常勤・非常勤・嘱託・臨時・任期付き短時間勤務と身分は異なる。継続雇用される傾向にあるが、市町村の判断でいつでも雇い止めできるものになっていて、必ずしも安定しているとは言えない。

全国を見ても非正規率は高く、常勤職員は約27%。離職率も高く、勤続年数1〜3年が半数を占めている。「いいほうだ」というシンジさんの月収は額面でも20万円に届くかどうか。同じく子どもに関わる仕事と比べてみても、教師はもちろんのこと、全産業平均より約10万円低い保育士の月給平均額22万9900円(2017年厚労省調べ)を下回っている。

指導員として働くのに資格は必要か――。資格不問の学童も少なくなかったが、2015年の「子ども・子育て支援制度」のなかで「放課後児童支援員」という公的な資格が初めてつくられた。保育士や社会福祉士、教員資格等を有するか、高卒以上で2年以上児童福祉事業に従事している人が、都道府県が実施する研修を受講することで取得できる。とはいえ、一般的な認知度はまだまだ。

ベテラン指導員は嘆く。

「誰にでもできる仕事と思われている。子育て経験があればできるわけでもない」「関係者以外に理解されにくいし、保護者でさえ気楽な仕事だと思っている人もいる」

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