「スマートバス停」が導く未来の交通システム みちのりHDとジョルダン連携、将来はMaaSも

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電子ペーパーでは時刻情報の表示だけでなく、バスの接近情報、運行情報、天気予報といったコンテンツを表示することも可能だ。そのため、今回のスマートバス停の取り組みには総合ナビゲーションサービス会社のナビタイムジャパンや、気象情報会社のウェザーニューズも参加している。バス停にかかるコストを抑えながら役割も高めていこうというのが今回の取り組みだ。

しかし、「スマートバス停」を展開するには2つの課題がある。1つは電子ペーパーのメンテナンスや通信費といったコスト、もう1つは電子ペーパーでの時刻表表示にも対応するバス情報(電子データ)の整備だ。

山間部にある会津バスの停留所(写真:yukky / PIXTA)

1つ目のコスト面については、今回の実証実験で検証していくという。会津バスのバス停がその対象に選ばれたのも、みちのりHDの傘下にあるバス事業者の中では気候の面などでシビアな環境にあるためだ。

今回の実証実験では凸版印刷が機器管理やメンテナンスを担当し、耐久性やコストについて精査する。現状は時刻表の表示のみを行っているが、将来的には時刻表以外にもリアルタイム情報などほかの情報を表示できるか検証する。その結果をもって、みちのりグループ各社のバス停に広げていくための判断を行うという。

バス情報整備の取り組み

そして2つ目のバス情報の整備が、今回の取り組みの大きなポイントだ。

現在、みちのりHD傘下のバス事業者では、運行管理システムにそれぞれ異なるシステムを採用している。だが、今後「スマートバス停」を展開するにあたって事業者ごとに違うフォーマットのデータを使用するのは、カスタマイズ費用や調整の手間が発生し、せっかくのIT化によるバス停の情報更新効率化のメリットも薄れてしまうだけでなく、導入コストも高くついてしまう。

もし、みちのりグループ全体で同じフォーマットのバス情報が整備できれば、スマートバス停以外にもデジタルサイネージやWeb上の案内、配布用の紙時刻表などにおいてもスケールメリットを生かすことができ、コストの圧縮や生産性の向上にもつながる。

そこで目をつけたのが国土交通省の定めた「標準的なバス情報フォーマット」だ。とはいえ、このフォーマットに各社の情報を統一するのは簡単ではない。みちのりHDの担当者は「傘下のバス各社はダイヤ編成システムが統一されておらず、現場で『標準的なバス情報フォーマット』に基づいたデータを作ることは難しい」という。また、この情報フォーマットを扱える人材を育てるのも大変だ。

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