「スマートバス停」が導く未来の交通システム みちのりHDとジョルダン連携、将来はMaaSも

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会津バスが運行する高速バス(筆者撮影)

このため、この夏からみちのりHDは経路検索サービスのジョルダンが開発した新しいシステム「PTD-HS(公共交通データHUBシステム)」を活用することで「標準的なバス情報フォーマット」に基づいたバス情報の整備を目指すことにした。また、整備した情報はオープンデータとして公開し、アプリの開発などを促すことで地域の活性化もはかっていきたい考えだ。

ジョルダンの「PTD-HS」は、現在バス事業者各社が使っているさまざまなフォーマットで出力されるバス情報を「標準的なバス情報フォーマット」に変換し、クラウド上に置かれたサーバーから経路検索サービスやデジタルサイネージなどに安定的に情報を配信するサービスだ。みちのりHDはこのシステムの顧客第1号となる。

このシステムを利用することで、バス事業者は「標準的なバス情報フォーマット」でのデータ作成・更新の手間がなくなり、バス関連機器の業者や経路検索サービス提供会社とのデータのやりとりも1つの窓口に集約できる。バス関連機器業者や経路検索サービス側も、統一されたフォーマットに対応するだけでさまざまなバス事業者のデータを扱えるようになるため、双方にメリットがある。

「事業者側に対してデータ公開の要請が高まっているが、オープンデータとなると事業者側はさまざまな不安を持っている。そこで、今回われわれが新システムを紹介するにあたり『オープンデータ』という言葉はあえて用いていない。まずは安心してデータを預けていただき、安定的にデータを供給したい」(ジョルダンの長岡豪営業技術部長)

見据える先は「MaaS」

また、同社は「MovEasy」という、交通事業者が一般利用者向けにウェブサイトやアプリで経路検索サービスなどを行うためのシステムを約10社に提供している。このシステムでは今後「GTFSリアルタイム」と呼ばれるリアルタイムの運行情報フォーマットにも対応し、Googleマップ上での経路検索時にバスの遅れ情報を表示できるようにするという。

こうした取り組みの先にある未来として、ジョルダンは「MaaS」(Mobility as a Service)を見据えている。「MaaS」については以前小田急電鉄の取り組みを取り上げたが(2018年7月6日付記事「小田急『自動運転バス』で夢見る鉄道新時代」)、ジョルダンの考える「MaaS」はまた違ったものだ。ジョルダンの佐藤俊和社長は「フィンランドの『Whim(ウィム)』のサブスクリプションモデルに衝撃を受けた」という。

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