「スマートバス停」が導く未来の交通システム みちのりHDとジョルダン連携、将来はMaaSも
東日本のバス事業者6社などを傘下に収める「みちのりホールディングス」が新たな改革に乗り出そうとしている。それはITの力を利用した「バス停改革」だ。経路検索サービスを提供するジョルダンと手を携え、同社が開発した新システムを利用する。みちのりホールディングス(みちのりHD)とジョルダン、それぞれがどんな未来を思い描いているのかを探ってみた。
電子ペーパーで「スマートバス停」
会津若松市の鶴ヶ城入口バス停と神明通りバス停。どちらもみちのりHD傘下の会津バスのバス停だ。観光地の「鶴ヶ城入口」では1日約40本のバスが、中心市街地にある「神明通り」バス停は1日約280本が通過する。
この2つのバス停に今年2月から「スマートバス停」がお目見えした。一見特別なバス停には見えないが、よく見ると、時刻表のところが普通のバス停のように紙による掲示ではない。大きなスマートフォンのような見た目をした端末によって時刻表が表示されている。
端末はイギリスのPapercast(ペーパーキャスト)社製で、太陽光発電によって得た電力を利用して「電子ペーパー」と呼ばれるもので時刻表の表示などを行っている。電子ペーパーは電子書籍端末でも知られるE Ink(イーインク)社の技術を主に用い、表示の切り替え時のみ電力を使う省エネ仕様だ。
みちのりHDはなぜ電子ペーパーを用いた時刻表表示を始めたのだろうか。その理由は「バスの時刻表を貼り替える手間を軽減し、運行管理システムから管理できるようにするためだ」という。
日本の多くのバス停では紙の時刻表で利用客に時刻を知らせている。その紙はダイヤ改正のたびに対象となるバス停すべての時刻表を手作業で貼り替えており、手間とコストがかかるだけでなくきめ細かなダイヤ改正を妨げている面もある。これを電子ペーパーに置き換えれば、ダイヤ改正日に新しい時刻表のデータを送信するだけでよく、きめ細かなダイヤ改正が可能になる。
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