「スマートバス停」が導く未来の交通システム

みちのりHDとジョルダン連携、将来はMaaSも

ジョルダンは将来的な「MaaS」の実現を見据えている。左から同社の長岡豪営業技術部長、佐藤俊和社長、結川昌憲法人本部長(筆者撮影)

現在、日本では鉄道、バス、タクシーを利用する際、それぞれの交通機関あるいは事業者ごとに運賃を支払う。これは定期券に関しても同じだ。しかし「Whim」ではそれらをまとめ、サブスクリプション(月額課金)でサービスを提供する。たとえば「Whim Unlimited」では月額499ユーロで一定エリアの公共交通・タクシー(5kmまで)は乗り放題、レンタカー・カーシェア・シェアサイクルも無制限で利用できる。

交通事業者が入り乱れる日本では夢のような話だが、利用者の移動データを扱うことができれば話は変わってくる。利用者数や、利用者が実際に利用した距離などに応じて各事業者に運賃を分配すればいいのだ。佐藤社長は「日本では多くの民間事業者があるが、事業者をつなぐハブとして経路検索サービスが間に入り、サブスクリプションモデルのMaaSを実現したい」という。

今年7月には「JMaaS株式会社」を立ち上げ、これから具体的なモデルの構築に着手する。ジョルダンは旅行業も展開しており、旅行商品開発のノウハウをMaaSモデルの構築にも利用することができそうだ。実現していけば、同社の大きな飛躍材料にもなることは間違いない。

IT活用でバスは変わる

ここまで、みちのりHDとジョルダンが行うそれぞれの未来に向けた取り組みを見てきた。どちらにも共通するのはIT化の促進とデータの重要性だ。また、そのためにも公共交通データの標準化は重要といえそうだ。

一方で、バス事業者がデータ変換やデータ流通を外部の企業に丸投げすることには、若干の不安要素がある。従来、ダイヤ編成システムやバス関連機器はブラックボックスとなっている面があり、バス事業者側では乗車人員や乗客の乗り降りにかかる時間、バスの遅延時分といったデータが十分に活用できていない部分があったためだ。そもそも、どんなデータを日々のバス運行で取得でき、活用できる可能性があるかを理解している事業者そのものがまだ少ないのが現状だ。

だが、ITを活用しデータに基づくマーケティングが行えるようになれば、まだまだ効率的なバスの運行が実現する可能性がある。そのためにも、データに関しては内製・外注に関わらず、しっかりとバス事業者自身がハンドリングを行うことが重要といえよう。

こうした懸念はあるが、今回のみちのりHDとジョルダンの協働は画期的だ。みちのりHDは統一フォーマットによるバス停メンテナンス費用軽減と労働生産性の向上を目指し、ジョルダンは情報をできるだけ1つにまとめるハブとなることで情報流通の基礎を作り、MaaSモデルを構築しようと画策する。両者のタッグによるITを利用したバス情報流通促進の推進は、バス業界ひいては運輸業界に大きなインパクトを与えるはずだ。

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