台湾で「名古屋めし」が人気化した根本理由 名古屋と何が同じで何が違うのか

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「コメダ珈琲店 南京建国店」。店の前には順番を待つ客がいた(筆者撮影)

台湾へ行って不満に思ったのは、コーヒーの味。名古屋の喫茶店のように深煎りの、濃いコーヒーを飲ませてくれる店がなかったのだ。そこで、今年2月、MRT松江南京駅の近くにオープンした「コメダ珈琲店 南京建国店」へ向かうことに。

店に到着すると、なんと、行列ができていた。入り口横のメニューサンプルの前で記念写真を撮る客の姿もあった。20分ほど待って、ようやく店内に案内され、「アイスコーヒー」(110元=約420円)と「ミニシロノワール」(140元=530円)を注文。

「ミニシロノワール」。ソフトクリームの甘さが強め(筆者撮影)

アイスコーヒーは期待どおりの味だったが、シロノワールのソフトクリームは練乳のようにかなり甘ったるい。舌触りもザラついていて、クリーミーでミルク感のある日本のシロノワールとは大きく違っていた。周りの台湾人はさらにシロップをかけて食べていたので、きっと台湾人向けにローカライズしたのだろう。

半熟卵を食べる文化が台湾にも

今回の台湾行きを決めたのは、トロトロの卵でとじた親子丼で有名な「鶏三和」が今年5月に台湾へ出店したというニュースを目にしたのがきっかけだった。

生卵や半熟卵を食べるのは、日本人だけで海外では食べる習慣がなく、実際、これまで海外でトロトロに仕上げた親子丼を出したという話は聞いたことがない。それだけに、どうやって食習慣をクリアしたのかが気になって仕方がなかったのだ。

台灣鳥三和有限公司の代表取締役、古川翔大さん(筆者撮影)

「台北市内の百貨店の催事で親子丼の実演販売をすることになりました。ところが、鶏肉や卵は日本から輸出できないので、日本国内並みに衛生管理が行き届いた、生で食べてもおいしい卵や安全安心な鶏肉を台湾全土を駆け回って探しました。そんな苦労のかいがあって『早く台湾に出店して』『台湾にない味』『また食べたい』など、高い評価をいただきました。この経験が台湾出店への強力な後押しとなりました」と、さんわグループの台湾現地法人「台灣鳥三和有限公司」の代表取締役、古川翔大さんは言う。

「鶏三和微風台北駅店」がある台北駅構内の飲食フロア、微風台北台湾站へ向かうと、店の前には10人ほどの行列ができていた。店内に案内されて、10分ほどで注文した「親子丼」(270元=約1030円)が運ばれた。

「親子丼」。トロトロの半熟卵が味の決め手(筆者撮影)

卵の絶妙なとろみ加減は日本とまったく同じ。鶏肉の旨みがしっかりとしみたダシが卵とご飯を見事に一体化させていた。丼に付くつくねのコラーゲンスープや梅干しもおいしかった。ふと、店内へ目をやると、女性のグループやカップル、家族連れの客がおいしそうに親子丼を食べていた。半熟卵を食す文化が台湾へと広がったことを実感した。

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