ノーベル経済学賞が警告する「経済成長の影」 今回の授賞に込められたメッセージとは?

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スウェーデン王立科学アカデミーは10月8日、2018年のノーベル経済学賞をエール大学のウィリアム・ノードハウス教授(77)とニューヨーク大学のポール・ローマー教授(62)に授与すると発表した(写真:TT News Agency/ REUTERS)

ローマー氏は、現在も多様な活動を続けている。世銀のチーフ・エコノミスト(すぐに辞めたが)だけでなく、特区都市のコンセプトを経済学に戻づいて提案している。

都市形成に必要な人々を引きつけるのに必要な全てのルールの規定、投資家を引き寄せる方法、インフラを構築する方法といった起業家としての側面もある。全ては基のローマー氏の理論に関係して貢献を続けている。

王立科学アカデミーが世界に送ったメッセージとは?

今回の執筆者:馬奈木俊介(まなぎ しゅんすけ)/九州大学主幹教授、工学研究院都市システム工学講座教授、都市研究センター長。九州大学大学院工学研究科修士課程修了。アメリカ・ロードアイランド大学大学院博士課程修了(Ph.D.経済学)。専門分野は経済学と都市計画学。国際機関「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」代表執筆者、世界環境・資源経済学会共同議長などを務める。

気候変動や技術進歩に伴って社会のルールをどう変えていくべきなのか——。経済学賞創設から50年の節目を迎えた今回、スウェーデン王立科学アカデミーこうした問題意識に根ざした研究テーマに授賞したことは大きな意味がある。

特に、短期的成長重視の政策への警鐘も鳴らしていると言える。アメリカのトランプ現政権をはじめ、多くの国が短期的な経済成長を考慮した貿易制限などを進めている。翻って、経済成長は、長期的な研究開発、人材育成、気候変動対策などをもって、現代社会の重要な課題に対応する中で成し遂げられるべきだ。

つまり、ノードハウス氏とローマー氏の貢献に対する評価には、各国や各企業の成長戦略とは何かを改めて考えるきっかけにしてほしい、というスウェーデン王立科学アカデミーのメッセージも込められている。

2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて合意した、2016年から2030年までの国際目標「持続可能な開発目標(SDGs)」をこれから具体的に進めるうえでも、よいきっかけとなる受賞といえるだろう。

馬奈木 俊介 九州大学主幹教授

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まなぎ しゅんすけ / Shunsuke Managi

九州大学主幹教授、工学研究院都市システム工学講座教授、都市研究センター長。九州大学大学院工学研究科修士課程修了。アメリカ・ロードアイランド大学大学院博士課程修了(Ph.D.経済学)。サウスカロライナ州立大学、横浜国立大学、東北大学などを経て現職。専門分野は経済学と都市計画学。国際機関「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」代表執筆者、世界環境・資源経済学会共同議長などを務める。著書に『人工知能の経済学』(ミネルヴァ書房、2018年10月刊行予定)、編著に『豊かさの価値評価』(中央経済社、2017年)、『農林水産の経済学』(中央経済社、2015年)、『災害の経済学』(中央経済社、2013年)、共著に『新国富論』(岩波書店、2016年)。

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