ローマー氏は、現在も多様な活動を続けている。世銀のチーフ・エコノミスト(すぐに辞めたが)だけでなく、特区都市のコンセプトを経済学に戻づいて提案している。
都市形成に必要な人々を引きつけるのに必要な全てのルールの規定、投資家を引き寄せる方法、インフラを構築する方法といった起業家としての側面もある。全ては基のローマー氏の理論に関係して貢献を続けている。
王立科学アカデミーが世界に送ったメッセージとは?
気候変動や技術進歩に伴って社会のルールをどう変えていくべきなのか——。経済学賞創設から50年の節目を迎えた今回、スウェーデン王立科学アカデミーこうした問題意識に根ざした研究テーマに授賞したことは大きな意味がある。
特に、短期的成長重視の政策への警鐘も鳴らしていると言える。アメリカのトランプ現政権をはじめ、多くの国が短期的な経済成長を考慮した貿易制限などを進めている。翻って、経済成長は、長期的な研究開発、人材育成、気候変動対策などをもって、現代社会の重要な課題に対応する中で成し遂げられるべきだ。
つまり、ノードハウス氏とローマー氏の貢献に対する評価には、各国や各企業の成長戦略とは何かを改めて考えるきっかけにしてほしい、というスウェーデン王立科学アカデミーのメッセージも込められている。
2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて合意した、2016年から2030年までの国際目標「持続可能な開発目標(SDGs)」をこれから具体的に進めるうえでも、よいきっかけとなる受賞といえるだろう。
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