日産「R35GT-R」は現行型をいつまで続けるか 次期型の情報はまだ聞こえてきていない

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山本シンヤ(やまもと しんや)/自動車研究家。自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“わかりやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動。数々の海外取材で経験した「世界の自動車事情」、元エンジニアの経験を活かした「最先端技術」、編集者時代に培った「ドライビングメカニズム」などを得意とするが、モータースポーツや旧車事情、B級ネタもカバーするなど、ジャンルは「広く深く」。エンジニアの心を開かせ「本音」を引き出させる能力も長ける。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(撮影:尾形文繁)

山本:一方で、今の日産は自動車メーカーとして電動化と自動化をコアテクノロジーとしています。市販車では電気自動車(EV)の「リーフ」が2世代目に移行しましたし、もし第4世代GT-Rが登場する可能性があるとして、現行モデルの延長線上でいいのかという話です。

五味:日産はモータースポーツではEVのレースマシンで競う「フォーミュラE」に参戦していますしね。R35GT-Rは、そもそも今の日産が目指している自動車メーカーの姿の延長線上にはないクルマだと思います。

塩見:R35GT-Rは、速いことは速いですが、フレッシュな存在ではないですよね。

山本:速さは問題ありません。それでもデビューから10年経った古さは感じます。そもそも2007年に登場したときから、R35GT-Rは「割と古典的」と評価されるデザインでした。それに、衝突回避ブレーキやアダプティブクルーズコントロールなどの先進の安全運転支援技術はほとんど搭載されていません。

10年でタイヤは大きく進化した

塩見:プラットフォームからやり直さないとそういうシステムは付けられないですからね。

五味康隆(ごみ やすたか)/モータージャーナリスト。自転車のトライアル競技で世界選手権に出場し、4輪レースへ転向。全日本F3選手権に4年間参戦した後、モータージャーナリストとしての執筆活動を開始。高い運転技術に裏付けされた評論と、表現のわかりやすさには定評がある。「持続可能な楽しく安全な交通社会への貢献」をモットーとし、積極的に各種安全運転スクールにおける講師を務めるなど、執筆活動を超えた分野にもかかわる。また、環境分野への取り組みにも力を入れており、自身で電気自動車やハイブリッド車も所有(撮影:尾形文繁)

五味:R35GT-Rが登場してから10年経って、大きく進化したのがタイヤです。激変といってもいい。ところが、それを使いこなすボディ自体の進化の歩みが滞り出している。そういう意味では性能向上や進化にも限界が見えてきています。

山本:日産はセレナから搭載した「プロパイロット」などで、自動運転技術をさんざん強調していますので、次世代のGT-Rが出るとして「自動運転技術は何も付きません」とは言えないじゃないですか。さらに高い環境性能も求められるわけで。仮に今のモデルが700馬力になったとして、熱心なファンの人は受け入れるかもしれないけど、新しいものを求める人からするとどうでしょうか。

塩見:もし、次世代GT-Rがあるなら、ガラッと変わってほしいですね。今は、賞味期限が終わりつつあると思っています。役目を果たしたと言ったほうがいいでしょうか。R35GT-Rは発売当初、世界を驚かせて日本人にすごく胸のすく思いをさせてくれた。でもまさかそのままずっと11年売るとは思わなかったですけどね(笑)。

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