日産「R35GT-R」は現行型をいつまで続けるか 次期型の情報はまだ聞こえてきていない

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「次のGT-Rはまだかな?」と期待させてほしい(撮影:尾形文繁)

五味:ジリ貧になって終わってもらいたくないですね。引き際でいうと、「現役でまだまだ戦えるんじゃない?」っていうぐらいで引いてもらったほうが、ファンとしてはうれしい気持ちはあるでしょうし。

フェアレディZと同じ道をたどるのか

山本:でもGT-Rをなくすということになったら、二度と戻ってこないような危機感があるから、日産としては続けたいでしょう。「フェアレディZ」もそうでした。一度「Z32」(1989~2000年)で消えて、「Z33」(2002~2008年)で復活して、現行のZ34(2008年~)が出て、今も売っていますけど、なんかGT-Rと同じような状況になっちゃっています。

塩見:フェアレディZもそうですが、日産は手仕舞い方が下手なんですよね。いいモデルを造っても、次のモデルへの切り替え方がうまくない。フェアレディZについてもフェアレディZをそのまま売っているだけ、みたいな印象があります。

第1世代のGT-Rはオイルショックのとき、排ガス規制もあって「ああいう速い車はけしからん」みたいな風潮がありました。自らの意思ではないところで終わらされていたわけです。

山本:たぶん、「日産GT-R」だから日本人のツボにはまっていると思う。もし、インフィニティGT-Rだったら、なんかちょっとすかした野郎みたいになっちゃいますよね。日産GT-Rだから、たぶん日本人の車好きが共感できるのでは、という気はしますよね。

塩見:逆に10年以上も、一線で活躍できる性能を保ち続けているというのはすごいことです。引き際はもう遅いと思いますが、今からでもスパッとやめて、次のマーケットを探してほしい。「次のGT-Rはまだかな?」と期待させてほしいところがあります。

五味:R35GT-Rが登場した時、速さをベースにしたコストパフォーマンスは競合を圧倒していました。だから、何かのきっかけで次のモデルが出てくるとしたら、そのときどんな価値観で驚かせてくれるか。僕はそれが速さ一辺倒ではない気もしています。

いつかは今のGT-Rのイメージとはガラッと違うGT-Rが出てくるかもしれないし、出してくるとは思いますよ。日産がGT-Rというブランドをこのまま捨てるわけは絶対にないので。僕が経営者だとしたら、GT-Rブランドは絶対に捨てない。

成相 裕幸 会社四季報センター 記者

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なりあい ひろゆき / Hiroyuki Nariai

1984年福島県いわき市生まれ。明治大学文学部卒業。地方紙営業、出版業界紙「新文化」記者、『週刊エコノミスト』編集部など経て2019年8月より現職。

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