シンカリオン×エヴァ「神回」誕生の秘密 「まるでエヴァ本編」制作陣が明かすこだわり

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この知らせに根岸氏は感激した。

小学館集英社プロダクションの根岸智也チーフプロデューサー(筆者撮影)

「放送当初からシンカリオンは『父子関係が良好なエヴァンゲリオン』(注:エヴァンゲリオンでは、主人公・碇シンジと父・碇ゲンドウの父子関係が良好だったとは決していえない)と言われており、エヴァンゲリオンとの類似性が指摘されていました。その庵野監督からコメントももらえた。これ以上うれしいことはありません」

夏休みの放送に先駆け、5月5日の第17話で500 TYPE EVAの走行シーンが描かれ、さらにエヴァンゲリオンに登場する国際秘密結社「ゼーレ」風のモノリスが登場した。シンカリオンとエヴァンゲリオン共演への地ならしである。当初案ではゼーレのモノリスは板チョコレートだった。その後、ゼーレそのままのマークが入ったモノリスが登場する案も出たが、何度かのやりとりの末、マークがシンカリオンに登場する「超進化研究所」のものに変わり、それが最終稿になった。このシーンを見て、クスリと笑った大人のシンカリオンファンも多いと思う。かくいう著者もテレビを前に大喜びしてしまった。

そして話は神回と言われた第31話……と、いきたいところだが、根岸氏と神村氏は本編の前にもうひとつ大きな仕掛けを作った。それが「サービス、サービス」で話題をさらった次週予告である。

封印解かれた「サービス、サービス」

普段シンカリオンを見ていないエヴァファンにいきなり第31話を見てくれといっても、なかなか気づいてもらえないだろう。どうすればシンカリオンとエヴァンゲリオンのコラボを知ってもらえるか。そこで根岸氏が思いついたのは、「予告編をツイッターにアップすれば、効果的に拡散されるのではないか」ということだった。拡散を目的としているため、オンエア以上に権利関係は気をつかったと言う。

神村氏も予告編については大きな決断をしていた。ミサトの「サービス、サービス」は、ここ2年間、封印をしてきたセリフだった。「サービス、サービス」が氾濫しすぎないよう、版権側として抑えていたのだ。しかし、「今回は使いどころだ」と考え、封印を解いた。決めゼリフが世に放たれた。

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