シンカリオン×エヴァ「神回」誕生の秘密 「まるでエヴァ本編」制作陣が明かすこだわり

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そもそもシンカリオンとエヴァンゲリオンは、なぜタッグを組むことになったのだろうか。神村氏の話は、500 TYPE EVAの誕生秘話にさかのぼる。

グラウンドワークスの神村靖宏代表と「シンカリオン 500 TYPE EVA」の玩具。新幹線からロボットへ変形する(撮影:尾形文繁)

「JR西日本さんから500 TYPE EVAの話をいただいたとき、すぐに『いける!』と思いました。エヴァンゲリオン生みの親の庵野秀明監督は鉄道好き。特に新幹線が好きで、中でも一番のお気に入りは500系。庵野さんに話してみたらその場でOKが出ました」

500 TYPE EVAについて、さらに話が続く。今度はデザインについてだ。

「最初、ラフをいただいた時には紫色の車体に緑の線が入っているデザインでしたが、それを見た瞬間、我々には山下いくと(エヴァのメカデザインを担当)がついているじゃないか!と。早速、山下さんをデザインに参加させていただけるようお願いしました。庵野さんのアドバイスも反映されている部分もあるんですよ。500 TYPE EVAには赤いラインが少しだけ入っていますが、これは庵野さんの発案です」

シンカリオン 500 TYPE EVAのデザイン©プロジェクト シンカリオン・JR-HECWK/超進化研究所・TBS ©カラー

500 TYPE EVAはタカラトミーが製造・発売する鉄道玩具「プラレール」にも採用。同社はシンカリオンの玩具も製造・発売している。そこで神村氏は考えた。

「シンカリオンで500 TYPE EVA版を作ってもらえないだろうか」

根岸氏をはじめとしたシンカリオンのプロジェクトサイドも、同時期にまったく同じことを考えていた。根岸氏は当時を思い出しながら言う。

「シンカリオンのプロジェクトサイドはエヴァンゲリオンをしっかり視聴してきた人ばかり。神村さんから打診があった時には、本当にエヴァンゲリオンをシンカリオンにしていいんですか?と、信じられないような気持ちでした」

シンカリオン第1話を庵野監督が絶賛

まず玩具から手を組むことが決まったシンカリオンとエヴァンゲリオンではあるが、これですら同じロボットコンテンツ同士が組んで、新しい玩具を作るという異例の話である。

少しずつ距離を縮めていった2つのコンテンツは、シンカリオンのアニメ化が決定することにより、今度は映像でもタッグを組むという流れになっていく。

転機となったのは、シンカリオン第1話放送後のことである。神村氏が話す。「庵野さんにシンカリオンとの本格的なコラボについて話したのは第1話のあとです。庵野さんもシンカリオンの第1話を見てくれて『あれは良い。保線シーンから始まるのがとても良い。男の子の夢が詰まっている』と」。

庵野監督の言葉に背中を押され、シンカリオンとのコラボについて聞いてみると、またもや即OK。重ねて、神村氏が聞く。「やれるところまでやっていいですか?」。庵野氏からは当然のようにOKが出た。

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