巨大災害相次ぐJR貨物、値上げで打開なるか

環境問題やドライバー不足の「好機」生かせず

JR貨物が発表した9月30日の運行スケジュールは、下り列車は9月30日朝6時55分に岡山貨物ターミナル駅を出発し、福岡方面に向かう。上り列車は同日朝5時59分に広島貨物ターミナル駅を出発し、東京方面に向かう。「徐行区間がある」(同社)ため、正確なダイヤはわからないにしても、朝7時から9時ごろにかけて両列車とも三原駅を通過すると予想された。

しかし、三原駅に貨物列車は現れなかった。前日の29日夜、台風24号の接近による大雨の影響で、山口県内にある山陽本線の光―下松間で土砂が線路に流れ込み、運行不能となっていたのだ。

このため、福岡貨物ターミナル駅にいた貨物の上り列車は広島方面に向かうことができず30日の上り列車は運休。下り列車も岡山貨物ターミナル駅は出発したものの三原に到着する前に運行中断を余儀なくされた。結局、下り貨物列車が三原―白市間を通過できたのは、翌日になってのことだった。

そもそも、29日から光―下松間が運行不能になったため、三原―白市間が運転再開されても山陽本線の全線復旧とはならなかった。このためJR貨物は、運行再開に合わせ、いったん終了したトラック代行輸送に10月2日から再び頼ることになった。山陰本線などを使った迂回ルートによる運行の復活も決まった。

巨大災害に耐えられないインフラが多い

山陽本線の全線復旧は10月15日にずれ込むことになったが、このように自然災害に翻弄されている状況が鉄道による貨物輸送の限界を端的に示したと言える。近年、日本を襲う台風や豪雨による災害の規模が過去よりも大きくなっていることは誰もが実感しているだろう。新幹線のような高規格の路線は自然災害に比較的強いが、戦前に造られた在来線では、線路や橋梁などのインフラが脆弱な路線も見られるからだ。

九州を襲った豪雨で崩壊した花月川橋梁(2017年7月、記者撮影)

たとえば2017年7月の九州北部豪雨で流出した大分県日田市の鉄道橋「花月川橋梁」。設置されたのは1934年と古いが、大規模改修や定期的なメンテナンスがきちんと行われており、通常の運行にはまったく支障がなかった。しかし、豪雨による川の水量が想定をはるかに超えたことで、橋脚が破壊されてしまった。

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