巨大災害相次ぐJR貨物、値上げで打開なるか 環境問題やドライバー不足の「好機」生かせず

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一方で、鉄道橋に隣接する道路橋は無事だった。2つの橋の違いは橋脚の数だ。鉄道橋の橋脚が5本に対し、道路橋の橋脚は2本。数が多い分だけ橋に対する川の流れの抵抗が大きくなるためか、今年7月、新たに架け替えられた鉄道橋の橋脚は2本になった。

このようにJRが問題なしと判断していても、巨大災害には耐えられないインフラも少なくない。だからといって、インフラすべてを最新式に置き換えるには莫大なコストがかかり現実的ではない。

線路への土砂流入対策は難しい

JRだけでは対応できない問題もある。たとえば線路への土砂流入だ。線路の周辺にフェンスを張るなどの流入防止策だけでは万全でない。問題の根本である斜面そのものに対策を講じなくてはいけないが、斜面がJRの用地外だと、JRは手を出せない。

運転再開を喜ぶ名松線の沿線住民(2016年3月、記者撮影)

2009年10月の台風で線路内に土砂が流入し運休に追い込まれた三重県内を走る名松線の家城―伊勢奥津間。山林など周辺部を管理する県や自治体が、億単位のコストを理由に対策に消極的だった。

JR東海(東海旅客鉄道)は「鉄道を元に戻すだけでは安全な運行ができない」として、一時は廃線説も流れた。その後、運行再開を望む地域住民の声に押され、県と自治体がようやく腰を上げJR東海も復旧工事に着手、2016年3月に運行再開に至ったという経緯がある。

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