三セクや貨物鉄道、意外にある「儲かる路線」 営業係数を試算…成績良好な路線はどこ?
(「平均通過数量」や「営業係数」など用語についての詳細は上記記事参照)
意外な路線が上位に?
■第三セクター鉄道
特筆されるのは、平成筑豊鉄道が第二種鉄道事業者、北九州市が第三種鉄道事業者である門司港レトロ観光線2.1kmの19.2という営業係数だ。これは、公表された収入が3384万円と、平成筑豊鉄道全線に対して10.4%であった一方、同線の95万旅客人キロは1.3%、営業キロは1.5%を占めるにすぎないからだ。
とはいえ、試算された費用は65万円、利益は2700万円というのはいささか極端に過ぎる。参考までに北九州市の数値を見ると、鋼索鉄道の皿倉登山鉄道の第三種鉄道事業者でもあるために内訳は不明ながら、収入が93万円に対して費用は1245万円で損失は1152万円、営業係数は1342.9と極めて悪い。同市は平成筑豊鉄道を支援するため、門司港レトロ観光線の鉄道事業を通じて間接的に支援を行っていると考えられる。
■貨物運送を実施する鉄道
良好な営業係数の常連である太平洋石炭販売輸送の臨港線4.0kmが2014年度も55.9と好調を維持した。確定値である収支の内訳は、貨物収入だけから成る収入が1億6300万円、費用が9108万円となって7192万円の利益である。費用のうち最も多かったのは車両に関する車両保存費で4212万円だ。
好収支の理由を探ると、1日1営業キロ当たりの営業費が7万5394円と、旅客運送事業を兼ねていない貨物運送事業専業の鉄道事業者中ではJR貨物の4万4491円に次いで低い点が挙げられる。ちなみに、貨物運送事業専業の鉄道事業者12社でのこの数値の平均値は15万4356円、最大は西濃鉄道の35万3954円であった。太平洋石炭販売輸送臨港線は、釧路コールマインが採掘して同社の選炭工場に集められた石炭を同じく貯炭場に運ぶ目的に特化した路線だ。このため、自動化が推進され、費用の支出を抑えつつ、効率的な鉄道事業を展開していると言える。
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