大胆試算「リニア新幹線」はどこまで儲かるか

大阪開業で売上26%増でも巨大投資が重荷に

リニア中央新幹線の営業車両「L0系」(記者撮影)

東海道新幹線と並ぶ新たな大動脈、超電導リニアによる中央新幹線の建設をJR東海(東海旅客鉄道)が始めた。リニアは時速500kmで走行し、完成すれば東京と名古屋の間が40分、東京と大阪の間が67分で結ばれる。

所要時間短縮がもたらす経済効果に加え、東京―名古屋―大阪間の輸送経路を二元化することで大規模災害に備えるという役割もリニアにはある。

九州新幹線や北海道新幹線のように国が建設してJRに貸し付ける整備新幹線とは違い、リニアはJR東海自身が事業主体だ。2027年末の開業が予定されている品川―名古屋間の総事業費は5兆5235億円。大阪延伸まで含めれば約9兆円の巨額投資となる。

新幹線客の半分がリニアに流れる

総事業費は内部留保や借入金で賄うが、債務過多の状態を避けるため、長期債務残高は5兆円以内という基本方針を設けている。同社は1991年度末の長期債務残高5.4兆円を15年度末に1.9兆円まで減らした。この経験から5兆円程度の債務なら確実に減らしていけるという自信があるのだ。

では、これだけの巨大プロジェクトははたして採算が成り立つのだろうか。リニアはJR東海の経営にどのような影響を及ぼすのだろうか。JR東海は2010年にリニア計画に伴う同社の収支予想を公表した。そこにはいくつかの前提条件が記載されている。

山梨リニア実験線で走行試験を行うリニアモーターカー(撮影:尾形文繁)

まずリニア大阪開業時には、新幹線からリニアへおよそ7200万人の利用者が移行すると見ている。試算当時の東海道新幹線の利用者は年間約1億3800万人なので、東海道新幹線利用者の約半分がリニアに流れるということになる。

リニアの運賃・料金については東海道新幹線に比べ、品川―名古屋間で700円、品川―大阪間で1000円高いという。この程度の割り増しなら新幹線の利用者の半分がリニアを利用してもおかしくないだろう。

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