大胆試算「リニア新幹線」はどこまで儲かるか

大阪開業で売上26%増でも巨大投資が重荷に

2010年に策定した計画では、一気に大阪まで建設を進めると長期債務残高が5兆円を超えてしまうので、名古屋開業を果たした後、数年かけて債務をある程度減らしてから延伸工事を始め、2045年に大阪開業するという2段階の計画になっていた。

リニアの大阪開業時に駅が設けられる新大阪駅(写真:ひ~さん/PIXTA)

しかし、2016~17年に、総額3兆円の財政投融資が行われたことでJR東海の方針が変わった。名古屋開業から間隔を置かずに延伸工事を始め、大阪開業時期を可能なかぎり前倒しすることになった。同社は「最速で8年前倒しが可能」としている。つまり最速で2037年に大阪開業が可能だ。

そこで今回は年度を通じてリニア効果が出る2028年度をスタート年度とし、大阪開業効果がフルに発揮される2038年度から4年後の2042年度までの15年間の収支を独自に予測した。

まず収入は2016年度の鉄道事業売上高をベースに、JR東海の前提条件を踏襲しリニア開業時に5%、その後は年0.5%ずつの上昇を見込んだ。大阪開業時にさらに15%収入が増えた後は、収入は横ばいという想定だ。

支払利息は、総額3兆円の財政投融資の平均金利0.85%で計算した。3兆円だけではリニア事業費の総額を賄えないので、毎年の営業キャッシュフローは長期債務(2016年度末で1兆8590億円)の返済ではなくリニア事業費に回し、長期債務は現状のままという前提にした。1991~2015年度に長期債務を3.5兆円減らしたことを考えれば、年間1500億円程度のキャッシュをリニア事業費に回せることになる。

定額法と定率法は何が違うのか

ただし、今から20年間のキャッシュフロー合計は3兆円にしかならない。長期債務5兆円という縛りを設けたまま大阪延伸工事を行えるかどうかはやや微妙だ。

費用については、JR東海の判断で大きく変えられる項目がある。それは減価償却費だ。その計上方法によって、利益の額は大きく変わってくる。償却には、毎年一定額ずつ償却する定額法と、毎年一定の償却率を用いて償却する定率法という、2つの方法がある。

定額法は毎年の減価償却費を均一化できるというメリットがある。定率法は1年目の減価償却費が最も大きく、年を経るにつれ減っていく。償却初期の利益が減るのはデメリットだが、その分キャッシュが手元に残るし、償却初期の税金も減るというメリットがある。現在、JR東海は有形固定資産の減価償却は主として定率法で行うことを基本方針としている。

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