意外?リニア工事にJR各社が協力する舞台裏

JR東海にはできない重要な仕事があった

5月26日早朝に出発した、発生土を運ぶ一番列車(筆者撮影)

リニア中央新幹線といえば、JR東海が東海道新幹線に続く第2の国土軸として、2027年の品川-名古屋間開業を目標に建設を進める一大プロジェクトだ。そのリニア建設工事をJR貨物とJR東日本もサポートしている。

5月26日朝6時17分。降りしきりる雨に打たれた大勢のJR東海関係者が見守る中、JR貨物の梶ヶ谷貨物ターミナル駅(神奈川県川崎市)から、電気機関車に牽引された貨物列車が出発した。貨物コンテナに積まれているのは土砂だ。

工事で生じた土砂を運ぶ

JR東海は梶ヶ谷貨物ターミナル駅の隣接地にリニアの資材搬入口と非常口を建設中。今回は敷地内の整備の際に発生した土砂を貨物コンテナに詰め込んだ。梶ヶ谷貨物ターミナル駅を出発した約150立方メートル、ダンプ27台分の土砂は、JR尻手短絡線などを経由して三井埠頭まで運ばれる。そこからは船で千葉県に運ばれ、埋め立てに使用される。

リニアはいわば長大な地下鉄のようなもの。品川-名古屋間286キロメートルのうち9割がトンネルである。そのため掘削に伴って大量の土砂が発生する。南アルプスなど他の地区ではトンネルから発生した土砂はダンプカーに積み込まれ、発生土置き場へ運ばれて保管される。

神奈川県内ではまず、梶ヶ谷の非常口と資材搬入口の設置工事に伴う発生土を処理する必要がある。その総量は約29万立方メートルと見積もられている。大雑把にいうと東京ドームの4分の1程度の量だ。その運搬手段として、トラックではなく貨物列車が採用されることになった。

「環境への影響を考慮し、発生土はできるだけ貨物鉄道で運びたい」。3月30日に行われた梶ヶ谷非常口・資材搬入口新設工事の起工式の席上で、JR東海の柘植康英社長はこのように述べた。実際、梶ヶ谷に非常口と資材搬入口を設置しようと決めた段階で、「せっかくJR貨物のターミナル駅がすぐそばにあるのだから、これを活用しない手はないと思った」と、JR東海の担当者は明かす。

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