トヨタ自動車がソフトバンクを選んだ「必然」 両首脳が語った未来のモビリティとは?

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日本企業の株式時価総額トップであるトヨタと2位のソフトバンクとの電撃提携にメディアの注目が集まった(撮影:風間仁一郎)

豊田社長は「今は100年に1度の大変革期」とし、トヨタは自動織機で創業し自動車に展開したこと、そして今、自動車メーカーからモビリティカンパニーに変わろうとしていることを強調。

やがて来る自動運転の時代を見据えて、ビッグデータを取ろうと海外でライドシェア(自動車の相乗り)サービスを手掛ける企業に出資を始めると「ドアの向こうには常に孫さんがいた」(豊田社長)。出資先にはすでにソフトバンクやソフトバンクが出資する巨額ベンチャーファンド「ソフトバンクビジョンファンド」が主要株主として存在していたと明かした。

ライドシェアの世界シェアは9割

「ソフトバンクが出資するウーバー、グラブ、ディディなどを合計すると、ライドシェアの世界シェアは9割」(孫社長)。自動運転で世界覇権を争うためには、すでに海外ライドシェア大手に出資しているソフトバンクと組むしかなかったというのが真相だ。

「今回はあくまで第1段。第2弾、第3弾のより広い、深い提携があるのを願っている。それを思うとわくわくする」とする孫社長に対し、豊田社長は「そういう風に持って行きたい」と気前よく応じた。

会見では両首脳の距離が一気に縮まったことを印象づけた。「豊田社長のプレゼンに感動した。情念に訴えて、心から言っているから惹きつけられる」と孫社長が言うと、「心からしか言えませんから」と豊田社長が応える。逆に豊田社長は孫社長のことを「成長する企業を見付ける目利き、においをかぎ分けられるんですよね」と持ち上げると、「有望な起業家とトヨタを結びつけていきたい」と笑顔で語っていた。

一方で、合弁会社が具体的に何を始めるのかには不明な点が多く、”日本連合”を結成しなければならない理由も明らかにされなかった。「頑張れ2人、2社と言ってくれたら嬉しい」。豊田社長はそう言って会見を締めくくった。

山田 雄一郎 東洋経済 記者

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やまだ ゆういちろう / Yuichiro Yamada

1994年慶応大学大学院商学研究科(計量経済学分野)修了、同年入社。1996年から記者。自動車部品・トラック、証券、消費者金融・リース、オフィス家具・建材、地銀、電子制御・電線、パチンコ・パチスロ、重電・総合電機、陸運・海運、石油元売り、化学繊維、通信、SI、造船・重工を担当。『月刊金融ビジネス』『会社四季報』『週刊東洋経済』の各編集部を経験。業界担当とは別にインサイダー事件、日本将棋連盟の不祥事、引越社の不当労働行為、医学部受験不正、検察庁、ゴーンショックを取材・執筆。『週刊東洋経済』編集部では「郵政民営化」「徹底解明ライブドア」「徹底解剖村上ファンド」「シェールガス革命」「サプリメント」「鬱」「認知症」「MBO」「ローランド」「減損の謎、IFRSの不可思議」「日本郵政株上場」「東芝危機」「村上、再び。」「村上強制調査」「ニケシュ電撃辞任」「保険に騙されるな」「保険の罠」の特集を企画・執筆。『トリックスター 村上ファンド4444億円の闇』は同期である山田雄大記者との共著。

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