任天堂「マリカー裁判」勝訴が示す大きな意味 キャラクターの価値は死守せねばならない

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さらに、不正競争防止法2条1項1号は、他社の商品表示として消費者に広く認識されているものと同一・類似の商品表示を使用して、他人の商品と混同させるような行為を禁止しています。

「マリカー」は提訴された後、社名を「MARIモビリティ開発」に変更しましたが、マリオのコスチュームを着せてカートで公道を走らせるという営業は、任天堂の商品・サービスであると誤認させるような行為であることを認め、コスチュームの貸し出しなどの営業行為の差止と、これまで任天堂が受けた損害の賠償を命じたのです。

任天堂が裁判を起こした本当の狙い

とはいえ、認められた損害賠償額は1000万円で、連結売上高1兆0556億円(2018年3月期)の任天堂にとってはわずかな金額と言えます。

それでも任天堂がここまで多くの時間とコストをかけて裁判をした理由は、同社にとってキャラクターの価値を守ることこそが、企業にとっての生命線だからに他なりません。

任天堂は今回の勝訴を伝える9月27日付のニュースリリースで「長年の努力により築き上げてきた当社の大切な知的財産を保護するために、当社のブランドを含む知的財産の侵害行為に対しては今後も継続して必要な措置を講じていく所存です」とコメントしています。

マリオだけでなく、ポケモンやドラえもんなど世界中に知れ渡ったキャラクターの著作会社は、その後、Tシャツやタオル、文房具やお菓子などのメーカーにキャラクターの使用を許諾することによって、巨額の著作権使用料を得ることができます。ある意味何もせず、ただキャラクターの使用を許可するだけで収入が得られるのです。

しかし、キャラクターの著作会社は、使用料が得られればどんな相手でも使用を許諾するわけではありません。例えば極端に印刷の精度が悪いキャラクター入りタオルが市場に出回ったり、キャラクター入りの味が悪いスナックが出回ってしまったりすると、そのキャラクターの価値が摩耗してしまい、次第にキャラクターのブランド力がなくなってしまうからです。

このような意味で、キャラクターの著作会社は「質のいいキャラクターイメージを長く保つ」ことを最重要視します。任天堂も、目先の費用対効果は度外視してでも、キャラクターの不正使用に目を光らせ、排除しようとするのはこういった理由があるのです。

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