弁護士は有罪判決が確定すると弁護士資格を失うが、確定するまでは資格は維持される。推定無罪の原則に従い、弁護士会は基本的に、弁護士が逮捕されても、それ以前に出ている懲戒請求の審理をいったんやめ、逮捕を理由に除名処分を下すということはしない。
したがって、弁護士会費を支払えているかぎり、刑事被告人と言えども弁護士登録は継続できる一方で、逮捕前に破産の申し立てをして資格を喪失するケースもある。
逮捕前に登録を抹消しなかった上記2被告のうちひとりは、1審の判決待ちの状態。もうひとりは今年7月に執行猶予なしの2年6カ月の懲役という判決を受けている。 過去の事例で言えば、着服したおカネを全額返金している場合は執行猶予がついているので、返金したのに執行猶予がつかなかったのはおそらく初めてだ。
申し立て件数は増加の一途
成年後見制度はかつての禁治産、準禁治産制度に代わって2000年4月から始まった制度だ。認知症、知的障害、精神障害などで判断能力が不十分な人は、不動産や預貯金などの財産管理をしたり、介護施設への入居契約などを締結する際、本人に不利益な条件で財産を譲渡したり、契約を結んだりしてしまうおそれがある。悪徳商法の被害に遭う可能性も高い。このため、本人の利益を考えながら、本人を代理して法律行為を行ったり、法律行為に同意したりする、「成年後見人等」を家庭裁判所が選任する制度が「法定後見制度」だ。また、本人が十分な能力があるうちに、将来に備えて代理人を選んでおき、公正証書にしておくのが「任意後見制度」である。
申し立て件数は年々増加しており、初年度の2000年4月~2001年3月は9007件だったが、2012年1~12月は3万4689件にまで増えている。このうち棄却や取り下げになるものは1割程度で、申し立て件数のほぼ9割が申し立てを認められる認容扱いになっている。
最高裁が統計の対象期間を2008年に変更したため、上のグラフは2001年3月末時点から2008年3月末時点までは4月から3月、2008年12月末時点以降は1月から12月になっている。
2006年4月~2007年3月の申し立て件数が突出しているが、これは障害者自立支援法の施行に伴い、知的障害者の親が子の後見人となる申し立てが急増したもので、一時的な現象と言える。
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