日本人が知らない南北首脳会談「意外な成果」 南北トップ2人が放った渾身の一打とは

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

以前、「NK Pro」(北朝鮮ニュース有料版)に寄稿した分析記事でも触れたように、ミサイル・エンジン試験場の解体は本物の譲歩ではあるが、北朝鮮が保有する核兵器の増加抑制にはさして寄与しない。

北朝鮮は2017年、弾道ミサイルに搭載する新型エンジンを世界に見せつけるために、西海衛星発射場の試験台を使って燃焼実験を行っている(「3.18革命」と呼ばれる)。同エンジンは中距離弾道ミサイル「火星12」および大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星14」に搭載された。

西海衛星発射場解体が意味すること

このような西海衛星発射場の解体には確かに象徴的な意味はあるが、ICBMの生産縮小につながるようなものではない。

さらに今回の共同宣言では、北朝鮮が同衛星発射場にある巨大な人工衛星発射台とその関連設備を廃棄する可能性が出てきた点も興味深い。「新たな国家戦略」を掲げ、経済開発へと重点をシフトした北朝鮮では、核兵器の重要性は以前ほど強調されなくなってきた。だが、宇宙開発計画は今でも目立った存在であり続けている。

たとえば、9月9日の軍事パレードで北朝鮮は核兵器を一切登場させなかったが、国営の朝鮮中央テレビ(KCTV)はこの日、2016年2月の「銀河3号」ロケットを使った人工衛星打ち上げの様子を繰り返し放映している。西海衛星発射場の解体は、こうした宇宙開発計画にとっては後退を意味する。

ただし、北東部の舞水端里(ムスダンリ)にある東海(トンヘ)衛星発射場は温存される。

確かに、東海衛星発射場では2009年を最後にミサイルやロケットの発射は行われておらず、今後の位置づけも不明だ。同施設については、米韓のいずれも目立った譲歩を求めてはいない。つまり、たとえ各国専門家の立ち会いの下に西海の衛星発射場が完全かつ恒久的に閉鎖されたとしても、北朝鮮の人工衛星計画は継続不可能になるわけではないということだ。

また、筆者が以前から指摘しているように、移動式発射台からの人工衛星打ち上げは北朝鮮が世界で初めて手にした技術ではない。イスラエルと中国も同様の技術を有していることがわかっている。

次ページ宇宙への野心は膨らませている節がある
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事