最近、注目されている48V電源システムを組み合わせたBSGのようなマイルドハイブリッドは、ボッシュやコンチネンタル、ヴァレオといった欧州のサプライヤーが推している機構。2011年にフォルクスワーゲン、ダイムラー、BMW、アウディ、ポルシェの5社によって策定された「LV148」という48Vの車載電源を用いたものである。
48Vのメリット
高電圧に分類される60V以下に設定した48Vを使うことで、高電圧のシステム搭載時に求められる安全対策や機能を用意せずに済むため、高電圧なフル・ハイブリッドのシステムより低コストでCO2排出量規制をクリアできる手法として、最近多くの自動車メーカーが採用しつつある。実際に先日発表されたアウディの「A8」や「A7」も、48Vのマイルドハイブリッドを組み込んでいる。
48Vは従来の12Vのシステムではできなかった回生ブレーキの利用を可能とすることをはじめ、フル・ハイブリッドよりは電装品を小さくシンプルにできるし、電圧が低く電力効率が悪い従来の12Vシステムによるマイルドハイブリッドよりさまざまな電装品を動かせることに加え、新たな電装品の採用で価値を高める(電動ターボやスーパーチャージャー、スタビライザーなど)、多くのメリットが挙げられる。
特に近年では、自動車における電装品は増えつつあり、12V電源では電力量が厳しくなりつつある。そうした背景を受けて48V電源を用いたマイルドハイブリッドが注目されている。
今回はそうしたシステムを実際に搭載したメルセデス・ベンツC200を公道で真っ先に試す機会に恵まれたのでリポートしたい。
エンジンスターターボタンを押すと、エンジンは静かに目覚める。これまでのC200よりも、始動時の振動も少ない。
そしてアクセルを踏んで走り出す瞬間から、これまでとは異なるフィーリングが生まれていることに気がつく。
従来の内燃機関を搭載したモデルでは、アクセルを踏むとエンジンの回転が上がり、それが力を生んで動き出す。が、いくら反応の良いエンジンであっても、アクセルを踏んでから動き出すまでには一瞬のタイムラグがある。
それがこの新エンジンにはないのだ。理由は走り出す瞬間はモーターによってアシストがなされるため、エンジンでは反応しきれないわずかな一瞬をモーターが補っている。だからアクセルに足を乗せたらすぐにクルマが動き出す。しかも感触はスッとすり足をするような落ち着きと滑らかさを持っていて、さらに力強く前へと出て行ける。電気自動車やハイブリッド的に動き出すのである。
BSGと48V電気システムは、回生ブレーキなどで発電した48Vの電気を1kWhのリチウムイオン電池にチャージする。そしてこれを加速時にはベルトを介してつながるクランク軸に対し、アシスト用モーターとしてプラスアルファの力(加速時には最高で10kW)を上乗せする。また一方でブレーキング時は、エネルギーを回生する(回生時には12kW)働きも与えられている。
とはいえこれだけではなく、実際の走りにはこのシステムをさらに効果的に使っている。
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