スカイラインはなぜ「NISSAN」を捨てたか エンブレムをインフィニティに変更

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高級ブランドとなったスカイライン

日産は、収益性の高いインフィニティブランドの強化を掲げるが、これまでお膝元の日本では展開を見送っていた。

以前は導入を表明していたものの、国内自動車市場がエコカーや軽自動車へ偏重する一方で、高級車ジャンルではドイツ勢が圧倒的に強く、勝算が立たないためだ。実際、トヨタ自動車の高級ブランド「レクサス」は苦戦、ホンダはかつて検討していた「アキュラ」の導入を現時点で断念している。 

今回、新型スカイラインにインフィニティのバッジをつけたが、日産によれば、あくまで個別車種のバッジであり、「独自のブランドとして展開するつもりはない」(パーマー副社長)という。ただ同時に、西川廣人(さいかわ・ひろと)副社長は「日産の持つインフィニティブランドをどうすれば有効に活用できるか検討している」とも言う。

高級ブランド導入へのトライアル

新たにブランドを立ち上げ、独自に販売チャネルを構築するとなると、多額の投資が必要になる。そのうえ、国内で無名のインフィニティを高級ブランドとして定着させ、ドイツ車と競争するのは、ほとんど夢物語だ。

その点、知名度は高いスカイラインを高級ブランドへと移行してインフィニティのバッジを背負わせ、チャネルは従来通り日産チャネルで扱えば、リスクを抑えながら、インフィニティの存在を認知させるきっかけを作れる。高級ブランド導入の可能性を探るトライアルにはちょうどいい。

当然、リスクもある。一気に高級ポジションに移行させたことで、従来のスカイラインユーザーが離反する可能性がある。かといって、狙いとするドイツ車ユーザーにスカイラインブランドが訴求できる保証はない。

今回の新型車はインフィニティの導入につながるどころか、伝統あるスカイラインの衰退に拍車をかけるリスクもはらんでいる。

丸山 尚文 東洋経済 記者

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まるやま たかふみ / Takafumi Maruyama

個人向け株式投資雑誌『会社四季報プロ500』編集長。『週刊東洋経済』編集部、「東洋経済オンライン」編集長、通信、自動車業界担当などを経て現職

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