日本は「超エリート」をGAFAに奪われている 「国vs.企業」新しい人材争奪戦が始まった

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日本国内の大手IT企業で働いている人たちのなかにも、「将来的にはGAFAに行きたい」と考えている人がたくさんいます。なぜならGAFAは、影響力と資金力を武器に優秀な人材を獲得するだけでなく、快適な職場環境を提供してもいるからです。

日本の職場を踏み台にして、GAFAの日本法人に入り、そこから本社に行ってみたいと考えるのも、個人の幸せを追求した結果としては当然でしょう。しかし、国家の視点から見れば、それは日本からの人材流出ということになります。

――個人の幸せと国家の幸せがまったく別のものになっていますね。

そうですね。私の周りの日本史を専門としている日本人研究者のなかにさえ、英語が話せる優秀な層には、海外の日本研究施設や歴史関係の職を得たいと考える人たちが現れてきています。日本に読むべき史料がたくさんあるのにですよ。史料がデジタル化され、海外から閲覧できるようになってきているという事情はあるものの、給料を含めた研究環境や職場環境が圧倒的に違うということです。これは異常事態だと思います。

日本は大学にテコ入れできるか?

『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』では、大学の重要性が語られています。人材やアイデアを提供するトップ大学と近い立地が有利だとかいうように。日本においても、GAFAに対抗しうる何かを作るならば、大学はそのためのひとつの基盤になるだろうと考えます。

しかし、いまの日本の大学はそのような基盤になれるほどの価値を提供できているでしょうか。最近、大学発ベンチャー企業も増えてきてはいますが、日本の大学がそれらを大きく育てる土壌になっているのか、そのための研究を蓄積できているのか、疑問です。

企業の側も、創薬・製薬のように大規模な産学連携が進んでいる分野もあるものの、面白い研究をやっている研究室や研究者を探して、それを個々に採りに行こうという意識はまだまだ希薄です。企業も、大学をただ人材の輩出元として見るのではなく、組む相手として見る姿勢がもっとあってもよいと思います。

いま国も産学連携を押し出してはいますが、予算が削られ続ける日本の大学の現場では往々にして「民間に役立つことをやって、お金をもらって研究しなさい」という意味合いに聞こえます。それではどんどん小さくなるばかりですよ。むしろ大学に余裕を与えて、企業にはないアイデアをつくらせる、素地をつくらせるくらいの発想の転換をしないと、とてもGAFAなど海外勢に対抗できそうにない。

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