酔えば球場も近い?西武「ビール特急」の挑戦 「遠い」ドーム集客へ、ライオンズと連携強化

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ライオンズと西武鉄道は、これまでも両社のwin-winにつながる取り組みに向けて連携してきた。たとえば、池袋線・新宿線所沢駅改札内の待ち合わせ・休憩スペース「リフレッシュスペース(とこてらす)」での野球開催時期の試合放送や、ライオンズのラッピング列車「L-train」の運行だ。1月15日からは、20000系2編成にライオンズラッピングを施した3代目「L-train」が池袋線と新宿線などで運行されている。

今年3月には、西武鉄道所沢駅商業施設「グランエミオ所沢」内に、ライオンズのオフィシャルショップ「ライオンズストア@所沢ステーション」がリニューアルオープンした。試合観戦チケットやグッズの販売に加え、オフィシャルショップでは初となる試合映像の床面投影や、スコアボード風の壁面などで球場の雰囲気を演出している。コンセプトは「まるでメットライフドームにいるかのような空間」だ。

球団が高める西武の価値

また、西武ライオンズは「株式会社西武ライオンズ40周年記念事業 メットライフドームエリアの改修計画・周年イベントについて」を発表し、約180億円を投じて同ドームエリアの改修工事などを含む「ボールパーク化」を進めている。

江戸川大学教授の崎本氏は「インバウンド客の誘致を見据えた総合リゾートエリアを目指す視点で、(隣接する)西武園の活性化を図ることで、ボールパーク化の効果をさらに高めることができる」と指摘する。2021年春ごろ完成予定のボールパーク化を機に、メットライフドームと狭山湖、休園中のユネスコ村、西武山口線レオライナーを介してつながっている西武園などの周辺エリアとの一体開発を進めることが、西武グループの企業価値向上と地域活性化に結実すると考えられる。

西武グループでは、ライオンズが今夏に期間限定で着用した「獅子風流(ししぶる)ユニフォーム」を社員に配布し、支障が生じない範囲で業務中の着用を要請した。「獅子風流ユニフォーム」を着用して接客に当たった西武球場前駅係員の姿にはライオンズへの愛情を感じた。ライオンズは西武グループ社員の精神的シンボルの役割を果たしてきたことは間違いない。グループ社員の士気に好影響を与えてきた面もある。

今後もライオンズと西武鉄道の連携強化を図ることが、西武グループの企業価値向上と鉄道の持続的運営による地域貢献への後押しとなる。そして、何よりもファンが望むライオンズの永続へとつながるはずだ。

大塚 良治 江戸川大学准教授

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おおつか りょうじ / Ryouji Ohtsuka

1974年生まれ。博士(経営学)。総合旅行業務取扱管理者試験、運行管理者試験(旅客)(貨物)、インバウンド実務主任者認定試験合格。広島国際大学講師等を経て現職。明治大学兼任講師、および東京成徳大学非常勤講師を兼務。特定非営利活動法人四日市の交通と街づくりを考える会創設メンバーとして、近鉄(現・四日市あすなろう鉄道)内部・ 八王子線の存続案の策定と行政への意見書提出を経験し、現在は専務理事。著書に『「通勤ライナー」 はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのか』(東京堂出版)。

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