「日本人のテレビ離れ」論が実は全然違うワケ

ネットに滅ぼされるものでも何でもない

地上波テレビに対抗する勢力として、年々勢いを増しているのが、Netflix、やHuluなどのSVOD(定額制動画配信)サービスである。月々決められた料金を支払うことで、そのサービスが提供する動画コンテンツを無制限に視聴できるというものだ。

地上波放送と代わり映えしないAmazonやAbemaTV

2015年にはネット通販最大手のAmazonもプライム会員向けに「Amazonプライム・ビデオ」というSVODサービスを始めた。ここでは松本人志プロデュースの『ドキュメンタル』をはじめとして、バラエティ系のオリジナルコンテンツも配信されている。また、2016年には、テレビ朝日とネット企業のサイバーエージェントの合弁事業として「AbemaTV」が始まった。20以上のチャンネルを24時間放送するインターネットテレビである。SMAPを脱退した稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾が3日間にわたって生出演した『72時間ホンネテレビ』、元ボクシング世界王者の亀田興毅が一般人の挑戦を受けて戦う『亀田興毅に勝ったら1000万円』など、いくつかの番組は世間でも大きな話題になった。

これらの動画配信サービスは、いずれ地上波テレビを脅かす存在になるのではないか、という議論もある。だが、個人的には、それは問題の立て方が間違っているのではないかという気がする。なぜなら、「テレビ」とははじめからそれらを含んでいるものではないかと思うからだ。

そもそも、SMAPも亀田興毅も、地上波テレビで注目されて人気が出たタイプの有名人である。彼らの出演したAbemaTVの番組が注目されたのは、世間に対する影響力の大きいテレビという場所で、彼らがすでに認知されていたからだ。

AbemaTVで配信されている番組では、地上波テレビと変わりのない顔ぶれのタレントが出ているし、制作スタッフも地上波テレビと同じである。地上波のテレビ番組に携わってきた出演者やスタッフがそのまま流れてきているだけなのだ。これは、テレビ朝日がかかわっている事業だからそうなっているというだけではないと思う。そもそも、いまの日本で広く支持される動画コンテンツを作るためには、地上波テレビのスタッフの制作力に頼る以外の選択肢がないのである。

AbemaTVに限らず、ほかの動画配信サービスでも事情は同じである。Amazonプライム・ビデオで配信されているバラエティ系のコンテンツを制作しているのも地上波テレビのスタッフである。

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