「日本人のテレビ離れ」論が実は全然違うワケ ネットに滅ぼされるものでも何でもない
買収騒動の直後、フジテレビの『FNS ALLSTARS あっつい25時間テレビ やっぱ楽しくなければテレビじゃないもん!』の枠内で、この事件を下敷きにした1本のドラマ『THE WAVE!』が放送された。
フジテレビの社内にテレビ局の乗っ取りを企む頭脳犯罪集団が侵入した。編成局長以下、局員たちはフジテレビを守り抜くために一丸となって立ち向かっていく――。そんな物語だった。主人公の編成局長を演じたのは明石家さんま。ほかの主要キャストもすべて芸人だった。
フジテレビプロデューサーの栗原美和子は、買収騒動でライブドアの堀江に憤りを感じてこの企画を立ち上げることにしたという。
ドラマの終盤では、危機を乗り切ったさんま演じる編成局長が、犯人に向かって長台詞で熱いメッセージを送る。その内容は「テレビ局は金で運営できるもんじゃない。いろんな人の情熱と魂が込められているからこそ、視聴者に感動や笑いを提供できるんだ」というものだった。
テレビとネットの関係は逆転
インターネットが普及して、GoogleやAmazonなどのネット企業が世界のトップに立っているいまとなっては、テレビ局に逆らった新興ネット企業を全国放送で「テロリスト」扱いしてしまうテレビ局員の無邪気さに、牧歌的な印象を受ける。ただ、当時はこういう試みが行われていても不思議ではないくらい、テレビとネットは縁遠いものだったのだ。
それから13年が経ち、テレビとネットの関係はがらりと変わった。ネットはいまやテレビをのみ込むような勢いで急成長を続けている。スマートフォンは人々の生活に身近なものとなり、誰もがそれを手放せなくなっている。
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