星野リゾート新業態「OMO」が直面する試練 東京・大塚で都市観光のモデルをつくれるか

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OMO5のスタッフ・野部洋平さん(筆者撮影)

今年5月に開業した「星野リゾート OMO5 東京大塚」(東京都豊島区)は、星野リゾートグループ内のほかのホテルや旅館に泊まったことのある人なら、そのカジュアルなたたずまいとリーズナブルな価格設定に驚くかもしれない。

「星野リゾート OMO(おも)」は、都市観光を楽しみたい人のために星野リゾートが新たに開発した都市観光ホテルブランドだ。「OMO5 東京大塚」に先駆けて、4月には北海道で「OMO7 旭川」(旭川市)がオープン。ビジネス利用を想定してつくられた従来の都市型ホテルとは一線を画し、「ビジネス客を捨て、観光客だけをターゲットにすることで思い切ったサービスを提供することができる」と星野佳路代表は開業前の記者会見で自信を見せていた。

開業から3カ月が経って見えた課題や、現場スタッフの手応えを確かめるべく、現場に足を運んだ。

部屋着のレンタルは、おもてなしに反するか

平日の午前、「OMO5 東京大塚」を訪れた。エントランスロビーには、出発前の若者グループの談笑に交じって、併設されたカフェでくつろぐ地元客の姿も見られ、まるで商業施設の一角のような活況がある。フロントに目をやると、こぢんまりとした造りのカウンターに、気取らない服装のスタッフが1人立っていた。聞けば、このホテルには自動チェックイン機が導入されていて、チェックインはすべて宿泊客が自ら行うのだという。これは星野リゾートでは初めての試みだ。

筆者が以前、星野リゾートの温泉ブランド「界」に宿泊した際は、眺めのよい窓際のソファに案内され、お茶を1杯ふるまわれた。チェックインの手続きを対面で進めながら、旅の労をねぎらうスタッフのおもてなしの心が伝わってきた。その記憶が鮮明なだけに、OMOのカジュアルな接客は新鮮だが、意外だった。

OMOだけの取り組みはほかにもある。部屋に歯ブラシやタオル、シャンプー、リンス、ボディソープは用意されているが、化粧水や乳液などのアメニティは有料だ。備え付けの部屋着もない。部屋着が必要な人には「OMO Tシャツ」を200円で貸し出している。部屋着のレンタルは、星野リゾートの既存ブランドにはなかった発想だという。

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