お堅い「町の総合計画」が絵本で大反響のワケ 福岡県の水巻町「水巻未来図鑑」の中身とは?

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町民の声を集める方法も、根本から見直した。総合計画では、無作為抽出の住民アンケートを取るのが通例だ。

しかし、「わが身に置き換えたら、送られてきたアンケートに真剣に答えるだろうか……。町民と関係性を深めるためにも、アンケートをやめて、できるかぎりいろんな人の生の声を聞こうと決断しました」と担当職員の服部達也さん。職員自らすべての小学校へ出向き、登校時や昼休みに子どもに声をかけてインタビューした。その数は300人を超える。

「水巻町の人が好き」と言う子どもが多かった

その際、驚いたことがあるという。「『水巻町のどこが好き?』と質問したら、川や公園などの場所が返ってくると思っていたのに、“地域の人”をあげる子どもが4割もいたんです。いつもあいさつしてくれるとか、見守ってくれるとか……意外な結果でした」と服部さんが言うと、小宮教育長も「水巻の子どもたちは人懐っこいんですよ。水巻町を好きと言ってくれる子どもが多くて、うれしかった」と笑顔を見せる。

また、さまざまな町民の声を聞くために、PTAや区長、地元企業などと座談会を開催。

座談会やイベントでは大きな紙を用意して、参加者に自由に思いを書いてもらった(写真:水巻町提供)

まちづくりをみんなで考えるイベントを開くと、議員も多数参加したという。

さらに、町職員の町への思いを深く聞くため、委託先の担当者が約160人のほぼ全員と個人面談。

こうして1年にわたり、あらゆる場で「問い」と「対話」を重ねて、町民のつぶやきを集めた。

「計画書のあり方をひとつずつ問い直し、議論しながら進めていきました。ただ、最後にどうまとめるかはまったく決まっていなくて。やっていることは間違っていないという確信はあったけれど、アウトプットが見えない不安を抱えながら、みんなで突っ走っていましたね」と服部さんは振り返る。

2018年3月の完成期限まで、あと3カ月。

年末になってようやく「子どもをはじめ、年齢や性別を問わず皆さんに読んでほしいから、絵本のような形にしよう」と話がまとまった。未来図鑑というタイトルは、ワークショップで「どんな総合計画にしたいですか?」と聞いたとき、町民のひとりが答えた「図鑑みたいなのがいい」という言葉からヒントを得た。

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