あなたの隣の「働かないオジサン」 無気力、評論家、仕事をしてるフリ……

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ここで考えてほしいのは、業種も異なる多くの会社に勤める若手社員から、同じようなオジサン批判が出ているということだ。

人柄や個人的な問題だけで働かなくなっているのであれば、これほど共通した話題にはならないだろう。そこには、オジサンを働かなくさせるような、会社の仕組みやキャリア形成の課題が横たわっていると考えたほうがいい。

一方で、批判を受けているオジサンたちも、好きでそういう態度を取るのではないと思われる。会社と自分との間にできた溝を埋めきれないことで、否定的な態度になっていることもありそうだ。先ほどの「かわいそうに思えてきた」というAさんの発言も、そういう面を感じ取ったのかもしれない。

矛盾や不合理の背景をきちんと把握する

このように考えてくると、オジサンたちの課題は、彼らを批判している若手社員の課題でもあることがわかってくる。オジサンを批判している若手社員も、十数年もすれば中高年社員になるからだ。

矛盾や不合理をいきなり取り除こうとするよりも、その矛盾や不合理の背景をきちんと把握することが、かえって解決の近道になることが多い。

働かないオジサンを生み出す背景にある会社の仕組みや、会社員人生の構造はどうなっているのか。また経営環境が変化する中で、会社と社員との関係がどのように変化しているのかを、十分、理解することが重要なのである。

そうすれば働かないオジサンに対して、どうのように対処していけばよいかだけでなく、自身の会社内での働き方や今後のキャリア形成におけるヒントを得ることができる。また、自分が働く会社の人事課題についての考えを深めることにもつながっていく。

次回は、中高年社員の働き方を見る中で、「働かないオジサン」のタイプ別分類と、その対処法について考えてみたい。

楠木 新 人事コンサルタント

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くすのき あらた / Arata Kusunoki

1954年神戸市生まれ。1979年京都大学法学部卒業後、生命保険会社に入社。人事・労務関係を中心に経営企画、支社長等を経験。47歳のときにうつ状態になり休職と復職を繰り返したことを契機に、50歳から勤務と並行して「働く意味」をテーマに取材・執筆・講演に取り組む。2015年に定年退職した後も精力的に活動を続けている。2018年から4年間、神戸松蔭女子学院大学教授を務めた。現在、楠木ライフ&キャリア研究所代表。著書に、『人事部は見ている。』(日経プレミアシリーズ)、『定年後の居場所』(朝日新書)、『定年後』『定年準備』『転身力』(共に中公新書)など多数。

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