彼らは営業所周りと称してよく外出するが、本部から部長が来店するときには必ず社内にいて、部長に話しかけながら自分の仕事ぶりをアピールする。仕事をしているフリだけは上手だと、Cさんは感心するという。
また大手のメーカーから出向した50代の社員が、女性社員のDさんが働く販売会社で役員になっている。販売会社の利益に役立っているとは思えない彼の仕事ぶりから見ると、Dさんは、「親会社のポストを維持するためだけに置かれた役職だと思えてくる。むしろ実務を知らない彼がいるせいで、円滑に仕事が進まなくなることが多い」と語っていた。
最近、読んだ週刊誌の記事では、会社勤めの20~50代を対象に「使えない社員」について調査したところ、全世代が共通して挙げたのは「50代男性」だったと紹介されていた。
この記事の背景は、ここで紹介した若手社員たちの話と共通しているものがあるのだろう。
オジサンたちの課題は、本当は若手社員の課題
20代、30代の社員の話を聞きながら、私の頭に浮かんできたのは、かつて『週刊文春』で連載されていた「おじさん改造講座」のことだった。数多くの女性社員から集めた情報をもとに、おじさんの生態を事細かにあぶりだしていた。
ただ、バブル初期の1987年に連載が始まっているので、オジサン批判はしているものの笑えるエピソードが多く盛り込まれていた。
当時と比べると、若手社員の労働環境や労働条件は厳しくなっている。働かないオジサンに対して、その分、批判的なまなざしが強まっているのだろう。
若手社員から、「働かないオジサンをリストラしてほしい」「中高年社員から若手社員へ、給与の再配分をしてほしい」といった意見を聞くこともあった。しかしそういった主張がすぐに実現できないことは、発言している若手社員もわかっていたようだ。
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