「雑談は聞く力が9割」が実は通用しないワケ 根掘り葉掘り聞くだけだと相手は楽しくない

拡大
縮小

私がお勧めしているのは「サンドイッチ質問法」を使うこと。質問を連発せずに、1つ質問をしたら、自分の場合はどうかを話したり相手の発言を肯定する話をしたりして、質問をサンドしながら雑談を続けていくスキルです。たくさんしゃべる必要はなくほんの5秒程度肯定や自己開示を挟むだけで、相手は格段に話しやすくなります。例を挙げてみます。

「旅行にはよく行かれるのですか?」

「はい、毎年1回海外に行くのが恒例行事です」

「どこに行くことが多いのですか?」

「ハワイです」

「ええ! うらやましいです。(肯定)

アメリカは行ったことがあるのですがハワイは行ったことがないので、いつか行ってみたいです。(自己開示)

ハワイだとオアフですか?」
     ↓
「いえ、マウイです」

お互いに自分のことを話しやすくなる情報量

このように相手の情報量と自分の情報量が同じくらいで進むと、お互いに自分のことを話しやすくなります。心理学で「自己開示の相補性」というものです。

『結局どうすればいい感じに雑談できるようになるんですか? 』(サンマーク出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

つい間髪入れずに「オアフですか?」と聞いてしまう人も多いと思うのですが、ほんの5秒で構わないので相手の発言をいったん受け止める気持ちで話をしてみましょう。

深い話をして距離を縮めたくても、いきなり突っ込んだ質問をするのは絶対にNG。まずは当たり障りのない話から始めて、まずは自分から少し深い話を自己開示して、同じペースで相手に話を聞いていきます。

相手と仲良くなりたいとき、いい感じに雑談できない人は、いきなり深い自己開示をするか、嫌われないために浅い話に終始するか、どちらかに偏る傾向があります。「最近、仕事がキツくてさ……」と先に話をすれば、相手も一歩踏み込んで仕事や恋愛の話をしやすくなるのです。「自分のことを少し話して、相手にも同じペースで聞いていく」を意識するといいでしょう。

川島 達史 コミュニケーション講師、精神保健福祉士

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

かわしま たつし / Tatsushi Kawashima

これまで10~70代の3000人以上に雑談スキルを指導。大学院では雑談の研究を行い、会話トレーニングを開発した。自身も対人恐怖症に苦しめられ引きこもりを経験。家族にすら顔を合わせられない状況から抜け出すために、会話術を勉強しては部屋のポスターに向かって各3000回ほど練習。症状が良くなったものもあれば悪化したものもあり、会話術には間違ったやり方や取り入れるコツがあることを体感。社会復帰後は一般企業で働いたのち「ダイレクトコミュニケーション」を設立。自身の体験と生徒の反応、検証データを大事にしながら首都圏と関西圏で講座を開催している。「ダイレクトコミュニケーション」公式サイト https://www.direct-commu.com/

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT